今日はギターリストではなくエンジニアのタクヤ先生。 pic.twitter.com/ymxvdWShbL
— SUPER ROCK'N'ROLLERS 公式 (@srrs_4) August 2, 2020
ということで、
ギタリストではなくエンジニアとしてスタジオ入りすることになった私。
感染症流行ってから髪切ってないのですげぇ髪のボリュームだな……
まぁ私自身メンバーなので、
セルフレコーディングということにはなるんですが
なんというか、今回は自分のギターも持って行ってないのでお仕事感がちょい増しでちょっと新鮮でした。
自分のパートは宅録したので、なんとなくn-s-labとしての活動っぽいなと。
CDにするときには Mix/Masterring:n-s-lab ということにしてもらおう。
せっかくなので、
今回やってみて思ったこととか、感じたことを少し書き残しておこうかと思います。
いわゆる戯言つぶやきを書き留めるメモなので
内容の正しさ、正確性については一切保証しません。
あくまでさとうたくや個人の主観です。
セルフレコーディングの良いところ
全体的にリラックスしてレコーディングが進みます。
エンジニアさんと顔なじみ、仲良しになれば
普段のレコーディングもリラックスできるのかもしれない。
むしろそっちが理想形なんだとは思うけど。
その分デメリットとしては、
OKNGの判定が自分自身orメンバーの誰かってことになるので
ある程度バンドとしての経験やバンドマンとしての経験値が必要になるのかも。
外部のエンジニアが居れば、OKテイクかNGテイクかを
その人の実力を見抜いたうえでアドバイスしてくれる(ハズ)なので
駆け出しのバンドマンとかは、何も考えずエンジニアにお願いしたほうが良い結果になると思う。
今回はSRRSということで、
各々いろんな経験を重ねてきた人たちがメンバーなので、
客観的に聞いてなにかあれば口は出しますが、ほぼほぼメンバー自身の判断でほぼOKなので、僕みたいなアマチュアでもサクサク録れて助かりました。
準備・計画は念入りに。
少なくとも、必要な機材の見積もりや
Recのタイムスケジュール感はざっくりとでもいいので立てたほうが良いです。
その上で、上手くいかないと延長になりますw
あと、当日のフレキシブルな対応を可能にするため
予備のシールドや分岐、変換ケーブルなどはできる限り持って行けるとベター。
スタジオで借りれる場合もあるけど、スタジオに無い場合もあるので。
100均のでいいので、ヘッドホンの延長ケーブルとかも超有用。
無ければ作れ。トモカ電気でケーブルとジャックを買えば丈夫なものがすぐ作れます。
マイキングは大事。特にドラム。
今回、出来る範囲でなるべくきっちりマイキングしました。
ちなみにドラムのマイクセッティングは以下の通り
バスドラ:ATM25とD-112の2本
スネア:Beta57とSM57でトップとボトムを
タム:3つともMD421でトップを
オーバーヘッド:SM57*2
ハイハット:AT2020
欲を言えばオーバーヘッドがコンデンサのペアだと良かったのだけど
スタジオが貸し出ししてなかったので57でRec。
距離とかも測りながら結構丁寧にセットアップした……つもりだったけど
帰って確認したら、オーバーヘッドの2本の位相が微妙にずれてた。
でも、ミックスの時に「さあ音作りしよう!」と思って
インサートにEQとコンプを入れたんだけど、
結構サラッとした設定で納得いってしまった。
マイキングが良くてきっちり録れてれば、あとは音の被りを調整したうえでドラム全体に対して方向性の調整をするくらいで良さそう。
適当に録るとなんかアタック足りないとかアタックしかないとかで
気づいたらインサートにたくさんプラグインが。。。。という感じだったんだけど。
バスドラを中外2本で録った恩恵も大きい。
アタック感の調整をEQとコンプではなくミックス具合で調整できる。
個人的にはルームマイクをミックスで上手く扱えないので、
ルームはなくてもリバーブとかでカバーできるって思っちゃう人ですが。
より生々しいサウンドのドラムを求めるなら、ルームマイクも用意すると良いのかも。
ただし、セルフレコーディングの場合
レコーディングブースを借りない限りはエンジニアも同室に居ることになるので、洋服や作業音(マウスのカチカチ)とかに気を使う必要が出てくるので
個人的にはセルフRecでのルームマイクはコスパ悪いと思います。
アコギのRecは難しい!!
ドラムのルームマイクで言いましたが
エアで録ると不要な音まで入ってしまうので、非常に気を使う必要があります。
ドラムみたいなデカい音鳴る楽器であれば、プレイヤー自身の動作によるノイズはまぁ許容範囲内みたいな部分もあるのですが
アコギみたいに程よい音量でダイナミクスもきっちりつけたい楽器だと、
演奏者の動きや呼吸一つですらノイズになってしまうのでめっちゃ難しい。
今回の音源でもノイズ入ってるもん。よく聞くと解るかも。
夏なので音がするような服装を着てくる人はいなかったけど、
冬場とかはウィンドブレーカーみたいな音の出やすい服装はNGと言うのも頭の端にとどめておきたい。
#隼人さんは声優だしそのあたりは気にしてくれてる気もする
Recモニター環境にはなるべくこだわりたい
演者が気持ちよく演奏するためには、モニター音のバランスにも気を使えるようにしたい。
今回はプリプロと称して、メトロノームに合わせたバンド一発撮りの音源を事前に用意したりいろいろしたけど
結局リョウさんとトシさんのリズム隊二人が同時にRecする運びになったので、ボーカルやギターの音はあまり重要度が高くなかったかもしれない。
あとは、演者がRecしてる今現在の音をきっちり返せる環境も大事。
DAWのリアルタイムモニターだとどうしても遅延が出るので
オーディオIO内でのループバックか、別系統でモニターを用意する方が良いかもしれない。
ドラマーも自分のバスドラとかを聞いた方がタイトな演奏ができるので
出音がでかいからと言ってそれに甘えてはいけない。。。
そういう意味では、
ミキサータイプのオーディオIOはとても便利そうだなとちょっと思いました。
ギターは宅録でOK?
正直、イマドキのアンプシミュをきっちり使えばどっちがどっちか分からない……
というか、僕なら綺麗に録れてる音ほどアンプシミュっぽいとか言いそう。
アンプとキャビの特性とか、これだ!っていう機材を使いたいなら実機でやるべきだけど、そうでなければ臨機応変に選択できる時代になったと思う。
リテイクのしやすさとか、宅録のメリットはたくさんあるけど
宅録をきっちりやるためには相応の知識と経験が必要になる……と思う。
アンプシミュはAmplitubeとか、BIAS AMP/FXとか、有名なソフトウェアアンプシミュでもいいんだけど、そのあたりはリアルタイム性も重視しているので
単純な出音だと、HelixNativeや後掛けのプラグインアンプシミュのほうが良いかもしれない、というのが僕の経験則だ。
#とはいえ、BIASの音が欲しいときも、Amplitubeの音が欲しいときもある。
(このあたりはなんか別記事で書きたい気もする。)
https://www.plugin-alliance.com/en/products/diezel_vh4.html
サブスク課金していることもあり、僕の場合は↑のようなPluginAllianceのアンプシミュを使いつつ、今回は新しく導入したHelixNativeも併用している。
ただ、宅録で気を付けたいのは
アンプシミュを通さずに、ドライ音だけでレコーディングしてはいけないということ。
というのも、録音時のモニターとして、ある程度自分の求める音に近い音を出しておかないと、ピッキングニュアンスとかノイズとかが把握できないからです。
方法としては、
スタンドアロン型のソフトアンシミュを起動しながらRecするか、
ドライ音を分岐させてハードウェアのアンシミュorアンプをモニター用として使うか。
最近の高機能なマルチエフェクターだと、ドライ音レコーディング機能とかがあるので、それを使ってもいいかもしれない。
#個人的には入力レベル設定が出来ないことが多いのでやりたくないが
ミックスとマスタリングの立ち位置
僕の場合は、商業的な用途もなく
単純に聞くためだけの音源を作っているので、何の制約もないので
わざわざミックスとマスタリングを分ける必要もないのですが、
作業手順的なところを踏まえて、下記のように作業を分けてます。
・ミックス
各パートの音作りから、全体のバランス調整まで。
パートやセクション単位でのインサートは行うが、マスターに対してのインサートは必要最小限にとどめて、ピークも狙わずに適度なところまでで抑える。
・マスタリング
ミックスが完了した音源に対して、最終的な方向性を決めるための味付けや音圧、コンプ感あたりを調整する作業。
最終的には大なり小なりリミッティングして、ピークが-0.1dbになるようにしてます。
前にどこかで言ったかもしれませんが、
全パート綺麗に音作りしてバランス調整までした音源を、マスタリングでコンプとかでいい塩梅に均一化して、何となくいい感じにするのが僕の作業スタイルなんですが、
「みんながきれいに描いてくれた背景を「ぼかすぜっ!」ってすると気持ちいい」という新海誠さんの発言からインスピレーションを受けて、
僕は「新海誠方式」と呼んでいます。
いや、もちろんこの新海誠方式についてはミックス時の途中途中でも使ってて、
各パーツごとに整えたドラムトラックに対して、アナログ系のプラグインをかけて輪郭をぼかしてあげたり、バスコンプで均一化したり。
ロックバンドという割とアナログなことを良しとするジャンルなので、
細かいところを煮詰めてどうこうするより、こういう力技のほうが雰囲気が簡単に出る気がします。
音圧戦争?ラウドネスノーマライズ?
近頃話題のラウドネスについて。
僕的には
「そんな数値で決めるんじゃなくて、聞いた感じ格好良ければ何でもよくね?」
という主張で終わらせたい部分もあるのだけど、
単純に他の音源と比べたときに音量差がありすぎると何となく悲しい気分になるので、無視はできないと思ってる。
なので、一応メータ上はJPOPとかと同じくらいのラウドネス値をとるように設定したのだけど、いざ聞き比べてみると、やはりJPOPとかの音圧バリバリ音源に比べると多少迫力は劣る。。。
各パートきっちり聞き分けられて、その上で迫力もある。
おそらく、各トラックの音作りやミックスの時点で
各パートをきっちり帯域分けとかを考えてミックスしたり、定位とかをきっちり勉強したらもう少し近づけると思う。。
やっぱプロってすげぇなぁ。
ということで、プロのような音圧に仕上げるには僕の実力不足という所もあるのだけど、
個人的にはバンドらしさの残る、ぐしゃっとした感じもまたロックなんじゃね?という言い訳を用意しておきたい。
ということを、Suspended4thのアルバム、GIANTSTAMPを聞きながらちょっと思いました。こういうジャム感はロックらしさだよね。
ジャム感を残しながら、きっちり圧もあるし分離感も出すあたりはやっぱすごい。