「アドレセンス・スリーパーズ」の制作メモ

「アドレセンス・スリーパーズ」という曲を作りました。

制作メモとして、どんなことを考えていたかとかのメモを記録しておきます。
(思想とか元ネタとかのオタク的部分は別記事に…)

テーマ決定

別途で細かく語る予定ですが、
テーマとなる元ネタがあります。

その元ネタから決まった要素としては

  • エロゲソング・アニメソング的な疾走感
  • ドラマティックな物語的展開
  • 叙情的なバイオリンのリードフレーズ

あたりは、事前に決定していた要素として最後まで一貫することとしました。

テーマ感から、楽器構成も
ロックバンド+ピアノ+バイオリン
という定番のアニソン構成に決まり、とりあえずリフのフレーズから作りました。

あとは、僕の技術的な課題として「転調」があったので、
絶対に曲中に転調を入れるぞというのが、僕自身の課題として設定されました。

展開の構築

今回の展開づくりの順番としては、
リフ→イントロ→Aメロ→サビ→Bメロ→(メロディ)→2コーラス目→Cメロ→ラスサビからのアウトロ
という順番で出来上がっていきました

まずはリフができたので、リフに向かうイントロを徐々に盛り上がる印象で作っていきます。
今回は「エロゲのOP」が裏テーマなので、ここはブランドタイトルが出ているイメージですね。

で、リフで一気に盛り上がって、ゲームのタイトルが出てくる的なイメージ。

うーん。テンプレ。だが、それがいい。

Aメロは、リフやサビを目立たせるために
定石通りシンプルにまとめますが、ちょっと4つ打ちというのもうんざりしてくるので
音数を減らして、もうすこしダークな雰囲気にまとめました。

サビは疾走感と希望感を出しつつも
元ネタの影響でどこかちょっとほの暗さを感じる雰囲気……
というか僕のマイナーキーな感性がにじみ出てる気がします。

というところまで作ってから、
課題の「転調」がクリアできていないので
ドラマティックさも増すためにBメロで極端な転調を画策します。

 

ガラス割っちゃえ(*^-^*)

 

ガラスを割るSEを加えた上に
いきなり 転調+3連符+ピアノだけになる
というトリプルコンボで、世界観をぶち壊します。

 

という感じでワンコーラスできたというところで
メロディラインを考えます。

サビは開放的に、A,Bは対照的に暗めに
ということくらいしか考えずに、歌メロはノリと感性で作っていきます。

歌詞を考えるときにメロもちょっと変えるので、アバウトに作っていきます。

 

2コーラス目。
Aメロは同じメロのまま雰囲気を変えるのが一種の常套手段ですね。

この辺りは僕が聞きこんできたアニソンの影響が大きい気がしますが
2コーラス目をロックに寄せる展開が好みなので、例にもれずロックな雰囲気にまとめます。

 

2コーラス目バッサリ切ってギターソロに入るのは
僕の常套手段ですね。

あまり長い曲は飽きやすいので、同じパターンの展開を減らすという意図で
割と使いがちです。

 

あとは、Cメロですね。
ドラマティックな展開、物語性を感じる楽曲には必須なので、
例にもれず、全く新しいメロディを入れることは決めていたのですが、

ここで再び転調するというアイディアが降ってきたので
そのまま採用しました。

明らかにマイナーキーのコード進行にして、
曲全体から見ても浮いている(Bメロほどではないが)パートにします。

起承転結の転にあたる部分ですね。

結に向けて盛り上がることを考慮しつつ、Cメロを構成して
最後に落ちサビと良く呼ばれる、ちょっと静かな入り方をするラストのサビですね。

歌詞でも言っている通り
バッドエンドがちらつく世界観なので、
アウトロもリフを繰り返しつつ、グダグダ長くせずに短めにバッサリ切ります。

そして、あとから歌を入れるときに、
アウトロに「WowWow」的なコーラスを入れるアイディアが降ってきました。

 

ということで、曲全体の中で展開の肝となる部分は
1回しか出てこないBメロと1回しか出てこないCメロです。

メロディライン的に聞きやすくて耳に残るのはサビになるようにしますが
サビを際立たせるために、事前になんか事件を起こしておく重要な役割を担っています。

こういった構成で、なんとか曲全体の物語感を醸し出そうと
四苦八苦しながら制作していました。

 

音楽的な工夫とか

最近、音楽を習いに行っているので
ようやく音楽的な工夫を意図的に組み込むことができるようになってきた気がします。

今回の曲で「ここだ!」ってポイントは
サビ前の助走部分です。

スネアロールからのブレイク。
伴奏は上がっていく進行で、助走をつけて踏み切るイメージ。

という枠組みの展開がこの曲では3か所出てきます。

1回目は、イントロのリフの手前。
2回目は、1回目のサビの手前。
3回目は、最後のサビの手前。

それぞれ組み込まれているセクションは
1回目:イントロ(Key:G)
2回目:Bメロ(Key:Gm)
3回目:Cメロ(Key:Dm)

全部別のキーで同じことをしています。

今回は転調を取り入れるため、どうやって元のキーに帰ってくるか考えたときに
キーは違っても同じ展開を使えば、元のキーに戻るフラグが建てられるのでは?

という仮定のもと、
ドラムのフレーズと大枠のコード進行は変えずに、
各キーに合わせて移調した展開でサビへと向かうような構成となっています。

 

とか言って、元のキーに帰ってくるとか言いつつ
ラストのサビの1周目だけKey:Emにしているあたりが僕の悪戯心です。

ミックスについて

今回はいつもの「ロックだぜ!!」って感じを極力排除して
「JPOPですけど何か?」というイメージでミックスしています。

だからギターが小さい……

でも、それだけで終わりたくなかったので
バスドラとベースで低音をブイブイ言わせてるのはせめてもの抵抗です。

 

ボーカルのすずきつづみ(CeVIO AI)について

もともとCeVIO AIの利点は発声の自然さと息継ぎだと思うのですが、
その良さが出やすい、落ち着きがあってさわやかなボイスライブラリ、という印象です。

ただ、なんとなくピッチがフラット気味になるのが気になる。
元の歌手の癖なのだろうか。ベタ打ちだと下手に聞こえる場合があるので
ピッチカーブの編集はマストな気がする。

歌い方に良くも悪くも癖が少ないので、
ロックなイメージにしたい場合は、あえてピッチを極端に動かしたりすると雰囲気が出そう。

感情パラメータを使いこなすところまで僕はいけなかったのだけれど、
うまく使いこなすとそういう部分がオートでできるようになるのかもしれない。

 

でも結局CeVIO AIの良いところでもあり、弱点は歌い方の表現がボイスライブラリにかなり依存することかなと思う。

いつも使っているSynthVは、音符ごとにしゃくりやこぶしみたいなピッチを変える表現をパラメータで設定できるので、ピッチカーブを手で書く必要がないので操作しやすいと思っている。
(逆に手で書くのに慣れてれば、そんなのいらないってなるのかもだけど)

ある意味では、
ボカロ界隈の「キャラクターボイス」の文化を正当に引き継いでいるソフトだと思う。

たんなる歌声合成ソフトウェアではないぞ、というイメージ。

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