ToneXPedalヘビーユーザー?のさとうたくやです。
日本発売日に手に入りづらかったので個人輸入でIKから買って使い続けているToneXPedal。
ユーザーとして発売直後にこんな記事を書いてます。
そんなこんなでかれこれ半年くらい使い続けてたら、
今度はKemperからも似たようなコンセプトのKemper PROFILER PLAYERが出るという話を聞いて驚いていました。
情報もそれなりに出そろってきていそうなので、
ToneXPedalのユーザーが、Kemper PROFILER PLAYERをスペックベースで比較検討していきます。
ぱっと見のコンセプトは限りなく近い
- アンププロファイリング系のコンパクトサイズエフェクター
- 3フットスイッチ
- 本体でキャプチャーは出来ない
- パワーアンプなし
という感じの、ライブユースかつライトユーザー向けのスペックなのは両機種共通だと思います。
ずっと「デカい」「重い」と言われ続けていたアンププロファイリング系の機材でしたが
その常識をスパンと破ったToneXPedalはかなり話題に上がりました。
あと、その比較的求めやすい価格帯も話題の一因だったっと思います。
で、その半年後
アンププロファイリングのブームの火付け役だったともいえるKemperが満を持して
コンパクトなKemper PROFILER PLAYERを出してきたわけです。
バチバチしてますね。
先に個人的結論を述べると
ユースケース別におすすめをまとめてみる。
- DTMでも有効活用したいユーザー:ToneXPedal
- 自分の機材をキャプチャしたいユーザー:ToneXPedal(ただし追加で機材が必要)
- とにかくいい音を1台で手軽に鳴らしたいユーザー:kemperPlayer
- ラインとキャビで出し分けたいユーザー:KemperPlayer
- 他のエフェクターと組み合わせてボード内でプリアンプとして使う:ToneXPedal
大きな違いはエフェクトの有無
ギタリスト視点での大きな違いとしては、エフェクトの有無があげられます。
ToneXPedalは内蔵エフェクトは
ノイズゲート・コンプレッサー・EQ・リバーブの4種類で、コンプレッサーとEQはアンプモデルの前後を選ぶことができます。
一方でKemper PROFILER PLAYERにおいては
マニュアルを見る限り、
ノイズゲート・ワウ・歪み・EQ・コンプレッサー・コーラス・揺らし系・ピッチシフター・ディレイ・リバーブ
というエフェクトが搭載されており、
ディレイとリバーブはアンプモデルの後
残りはアンプモデルの前に2種類を選択して置けるものと思われます。
正直、これだけ多様なエフェクターがあるなら
Kemperのほうは単機でライブユースも十分可能なプロダクトと思えます。
一方でToneXPedalは、少し物足りないです。
あくまでこのペダルはプリアンプなんだという意思を感じます。
設計思想の違い①アウトプット端子
両社の設計思想の違いはアウトプットに色濃く表れていると思います。
ToneXPedalは、LRのTRS端子とヘッドフォンアウトの3端子ありますが
出てくる音は基本的に同じで、出力は1系統と言えます。
画像引用元:https://www.ikmultimedia.com/products/tonexpedal/
一方でKemperのほうは
メインアウトとしてXLR端子、モニターアウトとしてLRのTRS端子、そしてヘッドホンアウトが用意されています。
マニュアルをぱっと見た感じでは
キャビネットシミュのON/OFFなど、それぞれの出力のサウンドを変更できると書いてあるように思います。
つまり出力系統が3系統あります。
画像引用元:https://www.kemper-amps.com/products/jp/profiler-player.html
この違いから見えてくる設計思想の違いですが、
Kemperのほうは、ラックタイプのKemperを引き継いでいて
Kemperを終端としてサウンドを完結させる、そのままライン出力でPAから音を出す想定で作られていると感じられます。
なので、XLROutがメインアウトになっており、
ギタリストが鳴らすキャビやパワードSPはあくまで「モニターアウト」であるという位置づけになっています。
一方でToneXPedalは、
TRS端子なのでLine出力もできるのですが、XLRアウトなどは用意されておらず
出力系統も1系統なので、ボードの中にToneXPedalを入れたうえで、さらにほかのエフェクターでサウンドを補強していく、プリアンプとしての用途をさせる意図を感じます。
さらに言うなら、
ToneXPedalにはMIDIの入出力端子が実装されています。(KemperのほうはUSBMIDIしか無い)
これはほかのマルチエフェクターと連携する場合などにかなり重宝されると思います。
設計思想の違い②アンプキャプチャ周りの機能性
これはペダルそのものと言うより
ToneXというエコシステムとKemperというエコシステムの違いともいえると思います。
ToneXPedalもKemper Playerのほうも、どちらも本体でキャプチャ・プロファイリングが行えないことは共通仕様となっています。
ただ、ToneXPedalについては
DTM環境や必要な機材がそろっていれば、ToneXPedalを買ったらついてくるソフトウェアを使って
自身の機材のサウンドをキャプチャして使用することができます。
機材がそろっている前提ありきではありますが、
ToneXPedalを買うだけで キャプチャ→ペダルで再生 という流れが行えるシステムとなっています。
一方で、Kemperについては
機材のサウンドをキャプチャするためには、既存のデカいKemperが必須となります。
商品名の通り、あくまでこれは「Player」であるという位置づけとなります。
誰かが公開・販売しているサウンドを使用するだけのユーザーは
サウンドのラインナップを除けば大きな使用感の違いは無いと思いますが、
もし自分のお気に入りの機材がある場合は、ToneXPedalとkemperPlayerでは少し使用感が変わってくるかもしれません。
その他便利機能の差
サウンド面とかEXPペダルが使える点とかは両方共通なので
サウンドや演奏性に関わる目立つ機能の差は無いんですが
KemperPlayerが大きく買っている点として
Wifi接続によりスマートフォン経由で操作できる点があげられると思います。
あと、Bluetoothで音楽再生もできるみたいです。
Kemperのほうは見た目以上に、ユーザーフレンドリーな機能設計になっていると感じました。
ちなみにToneXPedalのほうは、慣れると本体でサクサク設定値の微調整は出来ますが
アンプモデルの入れ替えとかキャビモデルの入れ替えとなると一気に面倒になります。
個人的に気になった細かいスペックの差
ずばり、電源です。
ToneXPedalの電力についての記載が見つけられなかったんですが
フツーに9V1Aも使わないので、適当なパワーサプライから電源が供給できます。
一方でKemperのほうは
9-12V/24W ということで9V換算なら2.5Aほど使う計算となります。
……HXStompだって公称2Aだよ??
あとは、入力信号のダイナミックレンジですが
ToneXPedal
「Up to 123 dB dynamic range provides whisper-quiet operation at any gain setting. 」
Kemper
「Elaborate high-quality instrument input with 127 dB dynamic range, crucial for high-gain sounds.」
ということで、Kemperのほうが4dB大きいです。
4dB・・・?
24ビットのデジタルオーディオ信号の場合、144dB程度のダイナミックレンジになるらしいので
おそらくToneXよりもKemperのほうがアナログ回路部のノイズ量が少ないのか
S/N比込みでの入力信号の最低感度が高いような気がします。
まあ、計測方法による違いもありそうなので
この数字を鵜呑みにするのもちょっと危ない気がしますね。
まとめ
先に挙げたユースケース別のおすすめについて、理由を解説して今回のまとめとしたいと思う。
- DTMでも有効活用したいユーザー:ToneXPedal
- プラグインのTONEXとAmplitubeが強力すぎる。マジで。
- 自分の機材をキャプチャしたいユーザー:ToneXPedal(ただし追加で機材が必要)
- キャプチャのためだけにKemper買うのは馬鹿げてるので
- とにかくいい音を1台で手軽に鳴らしたいユーザー:kemperPlayer
- エフェクトが有ったり、リグの豊富さでkemper有利か。
- ラインとキャビで出し分けたいユーザー:KemperPlayer
- プロ志向だと思う。出力系統が複数あるのが決め手
- 他のエフェクターと組み合わせてボード内でプリアンプとして使う:ToneXPedal
- バンドマン的には、電源とMIDI入出力の手軽さは有利だと思う
あとはサウンドが気に入るかどうかって部分。
クオリティ自体は両方ともかなり高いレベルなので、好みの差だと思ってます。
ただ、ユーザーレベルでのリグデータの取引はKemperしかできないので
日本人アーティストがシグネチャーサウンドとして販売しているサウンドが気になるとかなら、KemperPlayerのほうが好みの音がサクッと作れる可能性はあるかもしれない。