公式は英語マニュアルしかない上に、ユースケース別にまとまっていないくてわかりづらい!!
公式から日本語マニュアルが出ました。ありがたや。
ということで、ページビュー稼ぎもかねて自分なりのマニュアルを作成してみることとします。
レビュー兼僕なりの実際の使用シチュエーションの考察はこちらで!
要点のピックアップ
- 本体についてるVOLUMEだけはプリセットごとの保存ではなく共通だから注意しろよ
- エクスプレッションとかフットスイッチで可能性が一気に広がる
- 音作りはPCでやった方が絶対良い
公式マニュアル(英語)
https://www.ikmultimedia.com/products/tonexpedal/#manuals
①クイックスタート:最初はこの使い方で
PCにUSB接続して、ToneXアプリケーションを起動します。
ユーザー登録が正しく完了していれば、上部のLibrarianタブを選択することでToneXPedalの管理画面に移動できます。
この管理アプリでToneXPedalにできるのは
現状、プリセットの入れ替えとプリセット名変更だけです。
なので音作りの手順としては
①ToneXPlayerやTonenetでいい感じの音色を作り込む
②プリセットとして保存する。
③LibrarianページでToneXpedalにそのプリセットを書き込む
の3ステップです。
バンドとかでプリアンプとして使う場合に
キャビシミュをOFFにしたいと思うかもしれませんが
キャビシミュ入りのプリセットでも、
本体側のグローバルセッティングでキャビ無効化モードにできます。
詳しい解説は後ほどしますが、ひとまず全体でキャビをオフにする手順としては
①本体左上のSELECT(MODEL)を長押し
②ダイアルを左右に回して「GLOBAL SETUP」になったらSELECTを押す
③ダイアルを回していって「CAB」になったらSELECTを押す
④ダイアルを左右に回して「BYPASS」になったらSELECTを押す
これでToneXPedalが完全にプリアンプモードになります。
ここまでの使い方を覚えれば、一通りToneXPedalをDTM,バンドどちらでもそれなりに使えるようになるかと思います。
②本体で音色を調整する
まず本体2段目の6つのツマミは、音作り用のツマミなので
これらを操作することで音色を調整することができます。
これらの音色調整は、プリセットに保存することができるので
実際の使い方としては
①各ツマミで音を調整する
②本体右上PRESETツマミを長押しする
※ここで間違えて回してしまうと、変更内容がクリアされてしまう……
③何回か押すと「SAVED」となって上書き保存できる
(名前と保存場所とか設定できるけど、使いづらいのでPCでやった方がいい)
というような流れになると思います。
各つまみの使い方ですが、
一番左のPARAMETERが特殊なのは置いておいて
のこりの5つのつまみの中に一つだけ特別なつまみがあります。
そう、VOLUMEです。
このつまみだけは
プリセットごとの保存値ではなく、プリセットを跨いだグローバルボリュームとして動作します。
(しかもその上MAINVOLというグローバル設定として出力レベルを調整する項目すらある……)
実際ライブなどで使う上では、会場ごとの音量感を調整するのに便利なのでありがたい仕様ではあるのですが
理解していないと一瞬戸惑うので注意が必要。
ちなみに、プリセットごとのボリュームは後述のPARAMETERで扱うコントロールの1つ「MODEL.VOL」となります。
BANK”C”をソロ用にする、などでボリュームを上げる場合は
MODEL.VOLの方を上げてからプリセットに保存する必要があります。
基本的に右5つツマミはその上に書いてある内容(Gain,Bass…)を調整できますが
左端のPARAMETERだけは特別なつまみで、複数のコントロールをこの1つのつまみに集約しています。
このPARAMETERツマミを長押しすることで、画面下のALTランプが点灯し、
全てのつまみがALTモードになります。
すると、右の5つのつまみは、下に書いてある内容(Reverb,Comp….)を調整することができます。
リバーブ・コンプ・ノイズゲートは数少ない内蔵エフェクトのコントロールですが
それぞれのエフェクターの主要なツマミ、具体的には
リバーブのMix、コンプのThreshold、ノイズゲートのThreshold
を調節できます。
そして、問題のPARAMETERツマミです。
PARAMETERを1回押すと、現在操作できる内容が表示されます。
デフォルトは「MODEL.VOL」です。これがプリセットごとに保存されるボリュームの値となります。
現在操作できるパラメーターが表示されている状態でツマミを回すと、
PARAMETERツマミで操作できる内容を切り替えることができます。
ここで切り替えられる内容はマニュアルを参照してほしいのですが
ToneXのソフトで調整できるほぼ全ての項目がこのつまみに集約されています(まじかよ)
具体的には内蔵エフェクトの調整としての
ノイズゲートのONOFFやデプス、
リバーブのタイプ
コンプのONOFF、アタックとリリース
に加えて、ToneXのEQ設定として
BassのFreq、MidのQとFreq、TrebleのFreq
そしてEQをアンプの前と後ろどっちに入れるかの設定などがあります。
地味にMidのEQが便利なので、
この使い方は抑えておきたいところですね。
うまく使いこなせれば
クリーンChだけリバーブを入れるとか、コンプをかけるとかも自由にできるので
これ1台でライブをしてしまうことも視野に入ってくるかもしれません。
(あとチューナーか)
③エクスプレッションペダルを使いこなす
ここからは発展応用篇に入ってきますね。
ToneXPedalには追加ペダルの接続端子があって
市販のエクスプレッションペダルやフットスイッチを接続できます。
きちんと設定すると、追加フットスイッチもしくはエクスプレッションペダルによる
同一プリセット内での2通りの音色変更が設定できます。
例えば、ギターソロだけ音量を上げたりとか
エクスプレッションペダルで音量を操作したりとか
リバーブのON/OFFを外部スイッチで操作したりとか。
ToneXで唯一とも言える自由度の高い機能ですが、
設定方法がわりとややこしいので段階分けして説明していきます。
1.エクスプレッションペダルの仕様について
まず、繋いでいるエクスプレッションペダルの種類を設定します。
手順としては
①SELECT長押し
②GLOBAL SETTINGでSELECT
③EXT.CTRLでSELECT
④対応するエクスプレッションを設定する
ここで接続・設定できるペダルの種類が以下6種類あります
1.TRSエクスプレッション:Tip,Ring,Sleeveで構成される一般的なエクスプレッションペダル
2.RTSエクスプレッション:TipとRingの配線が逆になっているエクスプレッションペダル。上記でうまくいかなかったら使用する。
3.N.O.Switch:TipとSleeveが浮いた状態でOFFなアンラッチ式のフットスイッチ
4.N.C.Switch:TipとSleeveが接続された状態でOFFなアンラッチ式のフットスイッチ
5.N.O.DUAL:Tip,RingとSleeveが踏んでいる間だけ接続されるラッチ式のデュアルスイッチ
6.N.C.DUAL:Tip,RingとSleeveが踏んでいる間だけ切断されるラッチ式のデュアルスイッチ
※N.O.,N.C.はそれぞれ Nomal Opened と Nomal Closed の省略形
設定値から言うとわかりづらいですが、
繋ぐ機材ベースで簡単に説明すると
エクスプレッションペダルは基本的にTRSエクスプレッション(うまくいかなければRTS)
ラッチ式(機械式)ON-OFFスイッチはN.O.SWITCH(ONOFFが逆ならN.C.SWITCH)
アンラッチ式(モーメンタリ)のデュアルフットスイッチはN.O.DUAL(うまく動かなければN.C.DUAL)
の3x2種類というのがわかりやすいかなと思います。
アンプ向けのFootSWを流用する際など、ON-OFFの回路がメーカーによって逆だったりすることもあるので
極性反転ができるのは使えるスイッチの数が増えてありがたいですね。
で、この中のDUALスイッチなんですが、
DUALスイッチの機能は、残念ながらプリセットかバンク切り替え機能のどちらかに固定となります。
(シングル2つ扱いにならない)
そうすると本体のフットスイッチと同等の機能しか持たないため
ボードの配置面以外のメリットが薄いのが実情です。
一方で、ラッチ式のスイッチとエクスプレッションペダルについては、
プリセット内での各パラメータの状態を2パターン記憶させて、その切り替えに使用できます。
(エクスプレッションならもちろんふみ加減に合わせて段階的に変化します)
なので、ギターソロのタイミングでプリセット変更ではなく
外部スイッチONで、ゲインとボリュームを上げるように設定したり
エクスプレッションペダルでボリュームを操作してバイオリン奏法みたいなこともできます。
1.5 エクスプレッションペダルの場合:キャリブレーションを行う
エクスプレッションペダルの場合、下限と上限をキャリブレーションすることで
正しく制御できるようになるので、合わせて実施しておきます。
①SELECT長押し
②GLOBAL SETUPでSELECT
③EXP.CALIBでSELECT
④「HEEL」と表示されたら、エクスプレッションペダルのつま先を上げた状態(踵を押し込んだ状態)でSELECTを押す
⑤TIPと表示されたら、エクスプレッションペダルのつま先を踏み込んだ状態(踵が上がった状態)でSELECTを押す
⑥「DONE」と表示されたら完了
これをしておくことで、
メーカーによるエクスプレッションペダルの仕様の違いをある程度吸収することができます。
2.プリセット内でエクスプレッションペダルを使用する
本体設定でDUAL以外のエクスプレッションペダルが設定できたら
プリセット側での設定に移ります。
①SELECT長押し
②PRESET SETTINGでSELECT
③EXT. CTRLでSELECT
④ダイヤルを回し、ONになったらSELECT
これでプリセット内で外部ペダルが有効になりました。
その上で、ON,OFF時の2パターン
あるいはエクスプレッションの下限と上限の2パターンを記録します。
①SELECT長押し
②PRESET SETTING でSELECT
③EXT.LEARNでSELECT
④LEARN でSELECT
⑤「LEARN A」 と表示されたらパターンA(外部SWのOff状態、EXPの踵側)の音色を各つまみで調整する
⑥調整できたらフットスイッチB(真ん中)を押す
⑦「LEARN B」と表示されたらパターンB(外部SWのON状態、EXPのつま先側)の音色を各つまみで調整する
⑧調整できたらフットスイッチC(右端)を押すと完了する
⑨外部SW、EXPでの動作が確認できたら、右上のPRESETボタン長押しで上書き保存するのを忘れないこと
やり方を覚えてしまえばそこまで難しくない操作ですが、
初見だとちょっと迷うと思います。
おまけ:アンラッチ(モーメンタリ)SWの使い方
シングルSWモードでも、モーメンタリスイッチを接続すると
踏んでいる間だけ音色が変わるような設定にできます。
Volを0にするキルスイッチとして使ったり、
踏んでいる間だけノイズゲートを強烈に入れてブチブチさせたりと、
エフェクティブな使い方はできるかもしれません。
ちなみにDUALのアンラッチを差し込んだ場合も
設定値がN.O.SWITCHであれば、片方のSWのみがアンラッチのスイッチとして動作するようです。
④GLOBAL SETTINGの項目を把握する
どんどん内容がコアになっていきます。
今まで何度か出てきたGLOBALSETTING。
内容を把握しておくと、困った時になんとかなったり
使いやすいようにいくつか設定ができたりするので、一度把握しておくと良いと思います。
説明といいつつ、説明書からコピペしてきたので
ほぼ説明書の和訳みたいなものですが。
個人的に重要だと思う部分を太字にしておきます。
- NAMING – プリセットの表示方法
- NAME: プリセット名のみ(例「OR120」
- PC+NAME: 通しのプリセット番号+プリセット名(例「12.OR120」)
- BNK+NAME: バンク番号+プリセット名 (例「4.OR120」)
- BANK NAV – 同時押しでBANK上下の機能をON/OFFできる 。OFFの場合はEXT SWで上下させると良い。
- CAB – 全てのプリセットにおいてキャビネットを使用するか設定できる
- ACTIVE: キャビネットがACTIVE、ライン接続用の設定。
- BYPASS: キャビネットがBYPASS、プリアンプとして使うときの設定。
- USERMODE: かんたんモードを設定できる ∙
- EASY: いくつかのパラメータを非表示にして素早く操作できる
- ADVANCED: 全てのパラメータを操作できる(デフォルト)
- EXT. CTRL – 外部接続ペダルの設定。前述したので詳細は割愛
- DUAL SWITCH MODE – 外部接続にデュアルスイッチを接続した場合の動作モード
- PRESET: プリセット単位で上下する
- BANK: バンク単位で上下する
- EXP.CALIB – エクスプレッションペダルのキャリブレーション。前述。
- MIDI CH – MIDI接続時のチャンネルを設定できる。
- MIDI.THRU – MIDI接続時に信号をスルーするかの設定。
- TRIM IN – ToneXPedalの入力ゲインの設定。自宅で使っているオーディオインターフェースと揃えることで、自宅環境とToneXPedalの音色の差を減らすことができる。
- MAIN VOL – ToneXPedalの出力レベルを設定する。
- INTERFACE VOL オーディオインターフェースとして使用する際のデジタル的な出力レベルを調整できる
- OPERATION MODE – ToneXPedalの動作モードを切り替える
- LIVE: ライブなど演奏時に使用する場合
- INTERFACE: PCに接続してUSBオーディオインターフェースとして使う場合
- USB OUT – USBオーディオインターフェース接続時のオーディオルーティング
- STEREO: 1,2ch両方ともToneXPedalでエフェクトのかかった音が録音できる
- DUAL: 1chにToneXPedalでエフェクトをかけた音、2chにエフェクト前のDryが録音できる
- INFO – 本体情報、ファームウエアバージョンとか
- FACTORY – 工場出荷時に戻す(リセット)
⑤ToneXPedal単体で音作りを1からする
これはまじでオススメしません。
ただの苦行です。
一応操作手順を記載してみますね
①MODEL(SELECT) ノブを2回押す
②「AMP」表示でSELECTを押す
③SELECTノブを回して目当てのアンプを見つけたらノブを押す
④MODEL(SELECT)ノブを2回押す
⑤ノブを回して「CAB」表示させてSELECTを押す
⑥ノブを回してキャビのタイプを選びSELECTを押す
・MODEL:ToneXでキャプチャされたCab
・VIR:IKのキャビシミュ(IRデータを組み合わせてマイク位置をシミュレートできる)
・Custom IR:ユーザーIR(ただしユーザーIRを使用したプリセットがないと表示されない)
⑦ノブを回して目当てのキャビモデルを見つけたらノブを押す
⑧VIRの場合はマイクの種類と位置を設定できる(PARAMETERノブを使用)
そう、できることはできるんですが
ここで出てくるAMPやCAB(VIRを除く)の選択肢は、どこかのプリセットで使われているもののみとなる上
表示される名称はプリセット名依存……
あの八文字しか出ない小さい画面で見分けがつかない。
完全に音だけで探すというと聞こえはいいですが、
音色数がかなりあるので、全部聴き比べてたら日が暮れる……
おまけ:IK Multimediaに僕が求めたいこと
- 管理ソフト上での直接編集
- Amplitube的なビジュアル入らなくて
Line6のHXEdit的なシンプルなUIで構わないのでPC上でプリセットが調整できると捗ると思う
- Amplitube的なビジュアル入らなくて
- キャビネットIRの別メモリー化
- プリセットに入っているものだけが参照可能だと、わざわざIRを組み替えたプリセットをいくつも登録しなきゃならなくなる。