昨年にQuilter Overdrive200という、比較的小型なヘッドアンプを購入し、ボード内に詰め込みながらライブや練習をしてきました
そこで、半年使ってみてのメリットデメリットやこんな使い道ならオススメできるよーというのををまとめてみようかなと思います。
なんか微妙にアクセス数が多い記事になってるみたいなので、いろいろ書き足しました(2019/7/6)
4ケーブルメソッドはアンプで歪みをつくりたいけど、空間系も使いたいギタリストとしては
必須の仕組みとなるわけだけども
ケーブルそんなにつなぐの面倒だよねーってことで、アンプ自体をボードに突っ込んでしまえば良いじゃん!
という、方法をお勧めしたり、貶したりする記事です。
私の前のライブのときのボードです。
右上に鎮座してる、黒くておっきいやつがアンプです。
このサイズで200Wで、クソみたいに音量でかいので、ライブもスタジオも怖いものなしです。
最近は、ワイアレスを導入したり、センドリターンにZoomG3n入れたりとかしていますが
基本的に音作りの心臓部はアンプ。それは譲れない。
そのとなりの銀色のお弁当箱が、アンプのセンドリターンやフットスイッチの機能を束ねた自作のジャンクションボックスになります。
フットスイッチの機能があるので、アンプのch切り替えができるのと
センドリターンのエフェクターを一括でON/OFFできるスイッチをつけているので、ch切り替えと同時に踏めて便利です。
ケトナーとかオレンジの小型アンプは明らかにボードではなくキャビの上に載せるデザインになってますが、より小さいヘッドアンプであればボード内に入れても良いかなーと思います。
あとは、ボード内にアンプを置く手段としては、プリアンプとパワーアンプを別機材として用意する手段もありますね。
プリアンプは昔からあるものであれば、sansampのモデリングシリーズとか、最近だとmooerのミニペダルのシリーズが有名ですね。
もちろん、マルチエフェクターのアンプシミュレーターというのも一つの手段ですね。
小型パワーアンプとしては、エレハモの44magnamとかispのstealthとかが有名だとおもいます。
デメリット
デメリットからいきます。
デメリットを見て、無理だなーと思った人はメリットに騙されないようにブラウザをそっと閉じてしまっても良いかもしれません。
重い
最近は小さくて軽いものも大分増えましたが、基本的には邪魔で重いです。
基本的にパワーアンプって電力食うんで、そのためにはきっちりとした電源回路が必要になるので、普通のエフェクターに比べるとサイズに対して重くなる事が多いです
後述するメリットに対して、「そりゃいいな!」ってならないなら買っても購買欲を満たすだけ満たして後悔しか残りません。
最近のコンパクトエフェクターサイズのもので揃えるならあまり重さも気にならないかもしれません
出力が小さいものが多い
僕の使ってるモデルは問題ないんですが、よくあるペダルサイズとかだと、最近は20Wのものとかが最近出たりもしてますね
レビューを見ると「バンド演奏でも十分な音量です!」と、ありますが、
音量はキャビ次第で上がり下がりします。
スピーカーの種類や劣化具合でも変わりますし、メンテコストを下げるために、16Ωしか接続できないようにしているハコやスタジオも中にはありますので、
キャビも購入する気がないのであれば、ある程度マージンをとったパワーアンプ選びをする必要があると思います。
とは言っても、僕の200wはさすがにマージン取りすぎたかなと思わなくもありません……
音の出方が普段のヘッドと違う
もちろん、開発者の方々は既存のアンプに近づけようと、あるいは超えてやろうと設計していますが、
小型化する上で、真空管ではなかったり、駆動電圧が低かったりなどで、細かいレスポンスにおいて既存のヘッドアンプとの差異は存在すると思います。
「ギターアンプの音質に良し悪しはねぇ、そこにあるのは好き嫌いだけだ!」がモットーの僕なので、結局その音が好きならえーやんとは思うのですが。
見た目が悪い
ギタリストとしての死活問題です!
何も載っていないキャビの格好悪さたるや!
常設アンプを乗っけておけばある程度緩和されますが、それでもシールドも刺さってないアンプが乗っかっているという違和感が残る…
見た目に拘る人は、ダミーのシールドまで用意しましょうw
メリット
いよいよメリット!
こだわり派のギタリストにとっては上記のデメリットを上回るようなメリットがあるのも事実です
フィーリングがどこでも変わらない
あえて音質では無く「フィーリング」です。
と、言うのも
最終的な音質への要因としてキャビの質は無視できるはずがありません
更に言うなら、会場のキャパや反響でも音の感じ方は変わってきます
じゃあ、ここで言うフィーリングとは何なのかと言うと、
アンプとしての歪み方やピッキングに対する反応、エフェクトのノリと言った音質面のフィーリングが一つ、
それぞれのツマミによって変化する周波数やゲインというコントロール上のフィーリングがもう一つ
こうした2つのフィーリングを気にしているギタリストは、
マイアンプを持っていない人でも、個体差の少ない堅牢なJC120を普段使っているイメージですね。
JC120が使いこなせて、思い通りの音が出せる人にはマイアンプは不要かもしれません。
でも、JC120を使っているが、イマイチJC120の音が馴染まないと思ってる人は、クリーンな小型アンプは一つのベターな選択肢だと思います
僕は、JC120の音ってカタくてエフェクター使っても「ああJCっぽい」ってのが残る気がします。それが良さでもあるんだけど。
4ケーブルメソッドが容易
4ケーブルメソッドとは、アンプのセンドリターンなどを使って、空間系などのエフェクターをプリアンプで音作りをしたあと、パワーアンプの直前でかけることで、よりクリアなエフェクトが得られるという手法ですね。
無理やり図式化するとこんな感じ。
| アンプ→センド リターン → キャビ
| ↑ ↓ ↑
|ギター → 歪みとか 空間系
ギター・ボード間1本、ボードアンプ間に3本
4本の(長い)ケーブルを使用してることから4ケーブルメソッドと一部の界隈で呼ばれてます
通常であれば、アンプまでの間の3mから5mのシールドが3本必要になり、セッティングも手間だったり、ノイズやトラブルの基になります。
(どれがセンド、どれがリターンみたいのをきっちりシールドの色分けとかで分かるようにしないと本当に面倒。。)
見ればわかることですがボード内にアンプがあれば、すべてのケーブルがパッチケーブルで済みます。
ぶっちゃけ、ボード内アンプの最高のメリットはコレなんじゃないかなと思います。
セッティングの保存、記録が容易
まず、自分の機材なので毎回ツマミをゼロに戻すとか言う無駄な作業が発生しません。
また、ボード内にあることで
全部のエフェクター、アンプのツマミの状態が一枚の写真に収まる……!
複数バンドで活動している人とかだと、地味に重宝するかなと思います。
機材の管理が非常に容易です。
ライブ時の転換が早い
ボードをもっていって、ギターとボード・ボードとキャビをそれぞれつなぐ。セッティングはそのままで電源ONで音が出る。
普通なら、つないだ後にアンプのつまみを調節したりもするんだけど
セッティングは保存してあるので、本当に繋ぐだけ。
僕の場合はギターとボード間はワイアレスにしてるので、さらに転換が楽ちんです。
自宅で音作りが出来る
これはボード内アンプに限らず、マイアンプ全般の話になりますが。
自宅である程度音作りをしていく事ができます。
最近はマーシャルのキャビのIRデータなんかがネットにあったりするので、
オーディオIOさえあれば自宅でも、割と実際の環境に近い感覚で音を作り込んでいくことができます。
エフェクトの掛かり具合とか、歪み具合なんかもほぼほぼ自宅で調整していけるので
スタジオでのセッティング時間が減って、バンドでの練習時間が1曲分増えますw
他人に自慢できる
音、こだわってますよ!感が出ます。
機材好きなギタリストと会話が弾みます。
自身のアンプを持つことによる音質的な部分でのメリットは確実に大きいと思います。
普段から使う機材になれることで、アンプも含めて自分の手足のように使えるようになる、というのが理想形な気もしてきました。
と、いうことで
上記のメリットを踏まえた、ボード内アンプを選ぶ・使うときのポイントをいくつか紹介しておきます。
プリアンプ+パワーアンプ もしくは センドリターン付きのアンプを買う
先に上げたように、ボード内アンプにする大きなメリットの一つは
4ケーブルメソッドをボード内で完結できることだと思います。
小さくて音も良いアンプとして、代表格にVOXのMV50が上がってきますが
参考→https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/252094/
こいつの場合、センドリターンも無く、プリアンプとパワーアンプが一体となっているので
空間系のエフェクトを掛ける場合、かなり不自由することになると思います。
すごく音がいいので、アンプ単体でライブするなら是非おすすめしたいレベルのアンプではあるのだけど
エフェクトを使うとなると、ちょっと選択肢から外れてしまう。惜しいアンプだと思います。
と、いうことで僕が使っているQuilterのアンプなんかはセンドリターンがきっちり常備されていて
ボード内アンプとしては捗りますね
参考→https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/237452/
最近はQuilterからエフェクターサイズのヘッドアンプが出たとか。
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/257208/
または、パワーアンプとプリアンプを別で用意することでも同様のメリットが受けられますね。
エフェクターサイズのプリアンプはたくさん発売されているので、好みで選んだり
プリアンプをスイッチャーで切り替えたりできると、擬似的にアンプ切り替えをボード内で再現できるので夢が広がりますね!
クリーンはフェンダー系、歪みはマーシャル系。ソロはゲインアップしてメサブギ系で、、、みたいな!
コンパクトエフェクターサイズのプリアンプとしては、MOOERのMicroPreampシリーズか、AMTとかのやつが有名ですね。
ほかにも、アンプシミュレーターのキャビシミュを切って使うのもありかなと。
(キャビシミュONで使って好みの音が出たならそれでも可)
ボードに入るサイズのパワーアンプとしては、
ispのSTEALTHとかEHXの44Magnumとかが有名ですね。
ラックタイプのパワーアンプを下に敷いて使うという手もありますが、
ボードに入れるとなるとかなり厚めのボードを買わないと入らない気がします。
パワーアンプ選びに迷ったら、一旦パワーアンプは諦めて
JC120のリターン端子やマーシャルなどのヘッドアンプのリターン端子につなぐ、いわゆる「リターン挿し」という手法も良いかもしれません。
パワーアンプが重さの原因なので、
ボードが軽くて済むというメリットもありますね。
ただ、特にマーシャルなどの真空管アンプの場合はパワーアンプのキャラクターも出音にきっちり影響するので、
なるべくニュアンスをブレさせたくないならパワーアンプも持っておくと良いと思います。
アンプとは別に補正用のEQを使う
買ったアンプのEQつまみで全部補正しきれればよいのですが、
会場のキャビや部屋の鳴りに合わせて、微妙に補正したい場合は、センドリターンに別途EQを入れておくと便利です。
ハイが出にくいキャビであれば、アンプのEQは変えずに、センドリターンに入れたEQで最終補正をする、
ローが出ないとかあれば、出したい帯域を少しブーストしてやる
自分のアンプのEQは、ギターのキャラクターとしてのイコライジングに使って、
最終的な会場や環境への補正は、別のEQで行うと、出音が安定します。
MXRの10BANDEQとかが有名ですが、入るのであればラックタイプのEQなんか買って、ボードの下に敷いて置くというのも一つの手段かもしれませんね。
個人的には、グライコよりもパライコを推してますが
あまり手に入りにくいので、グライコでも十分かなと思います。
クリーンがきれいなアンプを買う
これは、人によりますが
歪みの音だけ気に入ってアンプを買うと、いざ別のジャンルやちょっと静かな曲をやろうとしたときに、
残念な感じになってしまいます。
一方、クリーンがきれいなアンプであれば、好きな歪みペダルを持ってくればそのペダルの音質を素直に反映してくれます。
あと、基本的に1chしかないアンプで歪んだサウンドを売りにしているアンプは、クリーンを出そうとするとゲインを下げることになり出音がかなり小さくなります。。
OrangeのMicroTerrorとかそうですね。
ハイゲイン気味なサウンドだとバンドでも使える音量なんですが、クリーンにすると全然音量足らないです。
アンプでの歪みこそ正義!ペダルなんて使えるか!ってヒト以外は、無難にクリーンがきれいなセッティングを用意しておいたほうが、できる音楽の幅が広がります。
あとは僕みたいに、2chあるアンプを買うと
グリーンチャンネルはそこそこ素直なクリーンが出ることが多いですね。
最近出たOneControlのヘッドアンプ、あれボード入るんでしょうかねw
センドリターンに歪みエフェクターを入れてみる
アンプを買った人は是非試してみてほしい。
エフェクターの相性にもよりますが、面白い音が出る場合もあります。
現に、先に上げた僕のボードのセンドリターンには
FuzzyDrive(ファズ・ディストーション)が入ってます。
気に入るかどうかは本人しだいですが、常識にとらわれずに一度試してみると面白いと思います。
だらだらと書き連ねてしまいましたが
一通り僕が思ったことは書ききった気がします。