僕のメインギターのテレキャスが2ヶ月間のリペアから返ってきました。
リペアのメニューは
- フレット打ち換え ステンレスフレット化
- ペグ交換 黒にカラーチェンジ・GOTOH製マグナムロック HAP-Mシステム
- ナット交換 オイル牛骨化
の3点です。
基本的に木工が入る部分なので、自分じゃできないと思ってリペアに出しました。
先に結論から言います。
私は満足していますが、万人におすすめできるかというと微妙。
どれも影響が微妙なレベルかつ、結構工賃もかかるので
7割位のギタリストは、このリペアやるよりそのお金でエフェクター買ったほうが幸せになれると思う。
細かく、それぞれの改造内容と
その結果、感じたことをまとめてみます。
■フレット打ち換え ステンレスフレット化
今回のリペアのメインディッシュ。
いつかやりたいと思っていた、ステンレスフレット化です。
ステンレスフレットの特性は
- 硬いので削れない
- 錆びない
基本的には上記の2点です。
とりあえず、このギターを末永く使っていきたいと思った僕は
「取り扱ってるステンレスフレットで一番硬いやつお願いします!」
と、一言お願いして交換してもらいました。
フレットと一言で言っても、サイズや形状、材質で様々な物があるんですね。
サウンドハウスでも様々なフレットを取り扱ってるので、興味のある人はさがしてみてください
僕が選んだのは、材質はステンレスなのはもちろんで
形状・サイズは、なるべくもとから付いていた近代Fenderのものに近いものを選んでもらいました。
(見た目の割に、ビンテージなスペックじゃないところがこのギターの良いところ。。。)
で、弾いてみた感想としては、
「え、弾きやすい。。チョーキングもすごいやりやすいしビブラートもかけやすい。。。しかも少しサスティンも伸びた気がする。。。」
フレット交換してまだ新品ということもあり、非常になめらかな表面で
弦とフレットが擦れる、というよりかは弦がフレットの上を滑っていきます。。
まだ、使い始めて1週間足らずなので、削れないとか錆びないとかの経年劣化に対する強みはまだわかりませんが、
削れにくく錆びにくい、ということはこの新品同様のフィールが長続きするということ……!
見た目も地味だし、効果も割と地味ですが
確実に演奏性も上がるし、楽器としての寿命は伸びたと思います。
ただ、流石に職人作業となるので、工賃がややお高めです。
ぶっちゃけ、その1本のギター本体に対するこだわりや愛情がある人以外は、
その金額でハンドメイドの歪みとか買ったほうが幸せになれます。
でも、今持っているギターに愛着があり、一生一緒に戦っていく気持ちがあるなら、
悪くない買い物だと思ってます。少なくとも僕は満足しています。
■ペグ交換
純正のFenderペグから、世界に誇るメイドインジャパン、GOTOH製のマグナムロックに変更しました。
ついでに、色も黒にしてのっぺりしているテレキャスのヘッドにアクセントを加えました。
まず最初に、
リペアから返ってきた段階では、なぜか1・2弦用のペグが6弦の位置にセッティングされていた。。。。
何かの手違いだとは思うが、結局自分で全部確認しながらつけ直すことになった。
後でリペア受け付けてくれた楽器屋さんには相談に行きたい。。
と、いうわけで僕の手によって正しい位置にペグはつけ直されました。
今回付け替えたロックペグの特性としては
- 弦を巻かない分だけ、チューニングが安定しやすい
- 弦を巻かないから弦の交換
- 弦を巻かないから、ペグ自体に高さが必要なくなる
あたりが挙げられるかなと。
一応、ロックペグというものの説明を簡単にしておくと、
一般的なペグはポストの穴に通して、巻きつけるトルクで弦を固定しているのに対して
ロックペグはその名の通り、穴の中で弦をネジなどで挟み込むことで固定するペグのこと。
穴の中でネジのトルクで固定されている分、巻きつけるトルクが必要ないため、ペグの回転は純粋に弦の張力を調整する(チューニングをする)ことだけに使われる。
弦は一般的に金属製であり、金属といえど引っ張れば伸びるし、温度でも体積が変化する。
そのため、ペグポストに巻き付けている部分が短いほうが、伸びる長さも体積の変化も少なくてすむため、チューニングは安定しやすいということになる。
リペアから返ってきた段階では、エクストラライトゲージ(09-42)が張られていたので
ほぼ新品を切るのは心苦しかったが、すぐに普段使っているエリクサーの10-46に張り替えました。
#そして、張替え時にペグの順番が違っていることに気づく。。。。
張り替えるときに思ったのは、
思っていたよりも、あまり弦交換は楽じゃないなぁということ。
と、いうのも
GOTOHのマグナムロックというのは、普通のペグポストに巻きつけるときのように、
ペグを回すことで弦を通す穴が狭まっていき、ロックされるような仕組みになっているため
結局、ペグはある程度回してあげないと弦がロックされない。。。。
もちろん、普通のペグで弦交換するときは、
引っ掛けてからある程度トルクをかけながらペグを回す必要があったりと、気をつけるべきポイントが多くて
それがないだけでも楽ではあるのだけれど。
ロックするからほとんどペグを回さなくていい、なんて思うのは間違いだったみたいです。
※スパーゼルやPRSのように、ペグとは別にロック用のダイヤルがついているタイプの場合は、多分ペグはあまり回さなくて良いはず。。
肝心のチューニングはというと、
もとペグよりは数段安定度が増しています。
弦交換後は、しばらく弾いたり引っ張ったりして弦を伸ばすのですが、
普段なら弾いてるうちに「あーこれはもうチューニングずれたわー」と交換して10分くらいで思うし、
その15分後くらいにはまたずれを感じます。
ロックペグにしたところ、そのずれが前より少なく感じました。
(それでもずれるのは仕方ない。物理的に。)
あと、これは偶然体験できたのですが
ライブ中に動き回ってたら、変なとこに引っ掛けて1弦と2弦を弦落ちさせてしまったのですが、
とりあえず、ナットの正しい位置に載せ直して1曲弾き終えて、いざチューニングを直そうと思ってチューナーをONにしたところ
ほとんどチューニングがズレてなかった。
ポストに数回巻いているような通常のペグであれば、
弦落ちした時点で、巻き付き方が変わったりして、もとのように張り直してもチューニングがずれるのは必至なのですが、
ロックペグの恩恵か、弦落ち後ももとの位置に張り直すだけで、演奏に支障がないレベルのチューニングのズレ範囲に収まります。(少なくともロックバンドの生演奏なら気にしないレベルのズレ、だと思ってください)
思わぬところでロックペグの恩恵に預かりました。
ペグの高さも調整できる
今回GOTOHのHAP-Mシステムという、自分でペグポストの高さを調節できるシステムが導入されたペグに変えました。
ペグの高さが変えられるということは、ナットからペグまでの角度が調整できるのでテンション感が調整できる、ということです。
そして、ロックペグなので、弦を巻きつけるだけのポストの高さが必要ないので
通常のペグに比べて低めの位置に弦をセットすることができます。
テンション感とは、弦をナットに押し付ける強さのことで
諸説ありますが、少なからず演奏性に関わるらしいです。
フェンダー系のギターは、ほとんどの場合ヘッドのペグが片側6連のタイプとなります。
その場合、6弦などのペグとナットの距離が近い場合は、ナットとペグの高低差が小さくてもある程度角度がつけられますが、
1弦2弦などの、ナットから遠いペグだと、6弦と同じ高さのペグだと角度が足らずに、
テンション感が低く、ナットから弦落ちしやすい状態となってしまいます。
それを防ぐために、ストリングガイドなどでテンション感を確保することが多いですが
ペグ自体に、高低差をつけることでもテンション感を確保することができます。
そのためにペグの高さを調節できるようにしたのが、GOTOHのHAPシステムだそうです。
と、いうことで
ペグの高さを最低まで下げることである程度のテンション感を確保した僕は
思い切ってストリングガイドを外しました。
ストリングガイドにも摩擦があるので、チューニングのズレの原因だから・・・ということです
#言うほどずれるわけではなく、単純に気持ちの問題。。
あと、やっぱり黒いペグ格好いいですね!
ボディも黒なので、ちょっとしたマッチングヘッド感あります。
そもそも、ペグが黒いテレキャスとか、JimrootモデルかTEJくらいしか知らないので
かなりイレギュラーな感じがまた格好いいです。最高です。
■オイル牛骨ナット
おそらく純正は人工牛骨ナット。
※https://www.musiciansfriend.com/guitars/fender-road-worn-player-telecaster-electric-guitar
店員さんいわく
「オイル牛骨のほうがなめらかな感じで音も少しやわらかくなります。」
とのこと。
ステンレスフレットに変えた時点で
フレットが固くなったので、音が少し硬くなったりハイが出やすくなる傾向がある
とも言われていたので、バランスを取るためにと思って交換してみた。
#これだけは当初は予定していなかった。。
見た目は、真っ白じゃなくなり自然な色味なので
もともとの人工牛骨よりは高級感が溢れています。
触り心地もなめらかで、質感が高いことが伺えます。
が、
演奏性やメンテナンス性には一切かかわらない部分であり、
今回、ステンレスフレットへの換装と同時に行ったため
ナットによる変化が一切感じられていない!!(笑)
もしかしたら、
ステンレスフレットに変えたことによる音質変化も大きなものではなかった気がするので
もしかしたら狙い通り、フレット交換とのバランスが取れているのかもしれない。
ただ、少なくとも
僕自身はナット交換による恩恵を一切感じていない。
ちょっと見た目が高級感あふれたくらいか。
あと、流石に量産品に比べると、職人さんがワンオフで作ってくれているので
精度が高い、、んじゃないかなと思う。
(比べてないからわからないし、もともと不満もなかったので、、、)
■総評
ちなみに、工賃・パーツ代込で約7万円。
このギター本体もだいたい7~8万くらいで買った
個人的には、
フレット交換は、細かい部分ではあるけど確実に弾きやすくなったし、今後のメンテナンスが楽という点で満足してるし
ペグ交換は、見た目と機能の両方に満足している。
ナット交換はよくわからない。
でも、音も演奏性も劇的に変わるような内容ではないし、
その上工賃だけはやたらとかかる。
非常に他人におすすめし辛い加工だと思う。。。
7万もあれば、GT100とワイヤレスがセットで買えるし
実戦でもなんとか使えるギターが1本買える。
ただ、僕はこのギターが気に入ってるし
このギターをずっと使い続けたいと思ったから、ステンレスフレットに変えたかった。
ライブでもガツガツ使いたいから、安定度の高いロックペグにしておきたかった。
そういうふうに、ちゃんと目的と意思を持った上で行わないと、ちょっと費用対効果が薄く感じるようなリペアだと思いました。
■余談1
リペアを頼んだ工房に、
同時期に、僕と同じように黒いテレキャスに黒のロックペグをつける依頼が舞い込んでたらしい。
その依頼主と友だちになりたい。
■余談2
このギター、改造を重ねた結果、
残っているオリジナルパーツは
- ギター本体(ボディ・ネック)
- ブリッジプレート
- ピックガード・コントロールプレート
- フロントPU
だけになってた。
覚書程度に改造内容をリストアップしてみるけど
見た目に反してかなりモダンなスペックになっていて、
とてもおもしろいギターになってきたと思います。(自画自賛)
- PUセレクターをトグルに変更
- リアPUをDimarzioTonezoneTに変更(パラレル接続)
- トーンのポットをフロントPU向けのタップSw付きに変更
- ブリッジサドルをStringSaverに変更
- アウトプットジャックをプレートタイプに変更
- フレットをステンレスに変更
- ペグをロックペグに変更
- ナットをオイル牛骨に変更