https://line6.jp/helix/helixnative.html
一般向けアンプシミュと言った時のブランド知名度No1と言えるであろう、Line6のフラッグシップモデル、「Helix」を
PC上で稼働するプラグイン化したものが「Helix Native」です。
何もわからない人が見てもなんだこの画面、ってなること間違いなしですが
Helix,HXシリーズのユーザーは、Helix向けのプリセット編集ソフト「HXEdit」と似たUIだと感じるでしょう。
というかまんま同じですね。
僕はこの前HXStompを買ったので
HXStompユーザー向けの優待価格で半額以下になるという話を聞き、
「「買わないほうが損なんじゃね……?」」
という、まんまとLine6の思惑に乗っかる形でHelix Nativeを導入しました。
だって、HXStomp高いんだもん。。。
Helix Nativeの前払い分の金額入ってるよ絶対。。
というわけで、僕の所持している有償プラグインアンプシミュが
- BIASFX(初代)
- Amplitube4
- PluginAllianeの各種アンプシミュ
- Helix Native
という感じにどんどん増えてきたので、
ちょっとHelix Nativeの使い心地でもレビューしてみようかなと。
#というかHelix Nativeの情報少なくて買うか迷った。。。
スタンドアロン無し。あくまでプラグインエフェクト。
これね。
何が言いたいかと言うと。
HelixNativeを演奏用のアンプシミュとして使うのはお勧めできないよ、ということ。
演奏用のアンプシミュってわざわざ言っているのは
スタンドアロンタイプなど、レイテンシが少なく演奏に耐えうる設計をしているアンプシミュと、そうではなくあくまでリアンプ向け(DAWで使うエフェクト)としてのアンプシミュを分けて考えたいからです。
打ち込みメインの人は関係ないけど、
ギタリストはこの二つの違いはキチンと把握しておいたほうが良い。
大抵のフリーのアンプシミュのプラグインは、後者のリアンプ向けプラグインだから。
演奏用アンプシミュと言えるのは、有名どこだとBIASシリーズ、Amplitubeシリーズくらいだと思う。(昔のLine6のPodfarmとかはもう時代遅れだし触れない方向で)
もちろん、設定をきちんとしたDAWならそこそこのレイテンシまで落とし込むことも不可能では無いのだけど
まぁまぁスペックが問われるし、結局スタンドアロンタイプに比べると微妙にレイテンシが大きい可能性が高いです。
相当リズム感が鋭い玄人なら、手元での補正で大丈夫かもしれないですが、
普通の人はなるべく少ないレイテンシでやらないと、生演奏時のプレイにも影響が出ちゃうので本当にやめたほうが良いです。
話がアンプシミュ全般の話にそれましたが
HelixNativeについても、プラグインタイプのアンプシミュです。
演奏に使うというよりかは、
作曲やミックスなどの編集作業時に使用するプラグインだと思ったほうが良いです。
ハードウェアのHXとの音質の差は?
まず、エフェクトモデルやアンプモデルなど
搭載エフェクトについてはすべて同じ、というのが公式のスペックです。
具体的に比べたわけではないんですが、
オーディオI/Oで各種楽器を録音するときって、
基本的にはS/N比を上げるために、全力で弾いた際にピークをつかないようにインプットゲインを設定するって言うのが基本的なセオリーじゃないですか。
一方ハードウェアのHelixとかにはインプットゲインというツマミは存在しないわけですよ。
ハードウェアのHXStompの設定がそのまま移植できるので
試しにHXStompと同じ設定で使ってみたんですが
めっちゃ歪むー!
そう、ハードウェアの場合は音量が大きいギターやベースに合わせた回路設定になっていると思われるので、
自分でオーディオI/Oで録ったデータを突っ込むと、まずインプットレベルがHXStomp使用時より高くなるので、全体的にハイゲインになります。。。
実際のHXStompにおける、エフェクト部への入力ゲインがどのくらいなのかはわかるはずもないので
全く同じ音が出ることはありません。というか同じ音にするのは難しいです。
試しにHXstompのドライ音レコーディング機能でも録ってみたところ、
結構低めのレベル設定になっていました。
もちろん、物理的なプリアンプのキャラクターの違いとかそういう部分も関わってきますし、HelixやHXStompでは入力インピーダンスの設定が可能なので、そのあたりの設定も音質にかなり関わってきます。
#僕の使ってるAXE I/Oも入力インピーダンス変えられますが。
が、そんなことよりもまず入力ゲインが統一できないので
ダイナミクスや歪みが重要になるギターの演奏においては、同じ音にするのは困難というのが僕の見解です。
もちろん、エフェクト処理内容自体はほぼ同じモノだとは思いますが
そこにたどり着くまでの処理がだいぶ異なるので、同じギターを使っていたとしても
良くも悪くも別のサウンドになる。
ただ、大まかなキャラクター感や、空間系のノリ方とかは基本的に変わらないはずなので
パッチを共有するメリットは十分にありそう。
そのまま使うのではなく、入力信号に合わせて微調整をしてあげることを忘れないように。
音作りの自由度は?
僕がHXStompしか持っていないので確認できていませんが
たぶんHelixと同等だと思います。
さっきの入力インピーダンスとかがないという部分はあるけど
エフェクト使用数やルーティングについてはHelixのシステムを踏襲している感覚がある
上段のルートから下段につないでエフェクトをたくさんかける使い方もできますし、
入力を上下段にパラレルにして、複数ルートをミックスして出力することもできる。
ただ、BIASFXとかのように無限にエフェクトをつなげられるわけではない。
BIASFXはルーティングの自由度は微妙だけど、エフェクトの追加の自由度は高すぎて本当に頭おかしい。(誉め言葉)
UIの操作感は?
BIASがめちゃくちゃ良い操作感すぎて、他のアンプシミュがクソに見える時はあるんですが
HelixNativeについては、そこそこ良いなという印象です。
エフェクトの入れ替えや、エフェクトの挿入などがちょっと解りづらいですが
あえてすべてのパラメータは棒グラフ?的なUIにした上で数値表示されるあたりは
質実剛健なプロ仕様な印象を受けますね。
Amplitubeのようにアンプモデルによって見た目が変わったり、
実際につまみをマウスで操作するのも初見には解りやすいっちゃわかりやすいし、
何より見た目でテンションが上がるんだけど
一目で現在の値が解りづらかったり、マウス操作がシビアだったりで扱いづらいところもあるので、
全てのエフェクターを同じUIで操作するHelixNativeはある意味、
一度覚えればすべてのエフェクトがすぐ操作できるという意味では使い慣れると使いやすいUIなのかなと思いました。
ただ、ページスクロールしようと思ってマウスホイールを回したら
設定値が動いちゃってイラっとすることは何回もあります。
慣れるしかないな。。
アンプシミュとしての肝心の音質は?
最近のアンプシミュはどれもクオリティ高いので、ぶっちゃけ好みの差ですよと言いたいところはあります。
HelixNativeに関して一言でいうならば
優 等 生
だろうね。
まぁHelix自体がプロがライブで使うくらいなので、十分な音質なのはわかってるし
僕なんかがごちゃごちゃ言うのもおこがましいけど、
他のアンプシミュとも比べながら少し僕個人の感想を書いておきます。
まず、
演奏用のアンプシミュと比べると全然音が良い。
偏見というか認知バイアスなのかもしれないけど
演奏用アンプシミュの2つ(BIAS,Amplitube)は、レイテンシは無くて演奏はストレスないんだけど、Recしたりリアンプして、改めてじっくり聞くとどこかのっぺりしたサウンドの印象を受けることがたまにある。
音作りが下手なだけだろ、って言われちゃうとその通りなんだけど
音作りが上手でないユーザーでも格好いい音が出せるのが良いプロダクトだよね
BIAS,Amplitubeも、その音が欲しいときもあることにはあるんだけど
HelixNativeに比べると、使用する際の優先度が下がる感じはある。
Helixで納得いかないときにAmplitube使ってみるか、みたいな。
HelixNativeはフラッグシップ機のHelix譲りのサウンドで
扱いやすく、とりあえずいい音がポンと出てくれるイメージ。
Line6らしい堅実な音なので、好みは分かれる部分はあるけど
いわゆるLine6くさい、アンプシミュくさいと言われるような角の録れたサウンドはHXになって影を潜めてると思う。
とにかく、
レコーディングしたみたいな音がスッと出てくれる扱いやすさはすばらしいの一言。
あとは、ステレオの空間系エフェクト類が、クセが強いとまでは言わないけど独特のエフェクト感で面白いので
HelixNativeを試用するときは絶対にステレオでの出力を試してみてほしい。
ギターの音って基本的にはモノラルで録るので
Mix時にステレオ感欲しいな―というとダブリングするとかピンポンディレイをショートでかけるとかいろいろやらなきゃならなくなって、破綻しそうになったりすることも多々あるんだけど
HelixNativeの空間系をちょっとかけてあげると、勝手にステレオの広がりが出てくれるのでとてもお手軽。
というか、ギター以外の楽器でも
ステレオ感欲しいときに、HelixNativeを使うメリットはあるんじゃないかな。
もちろん、慣れたステレオ系プラグインを使うのも良いのですが
なかなか独特のステレオ感が出るので、ここを気に入るかどうかは
購入における一つの判断基準になると思う。
アンプシミュ自体の音質は、好みの差が大きいので
個人的にはPluginAlliance、つまりBrainworx系のアンプシミュがすごい生々しくて気に入っているので、
それに比べるとクランチ系のサウンドはHelix負けるかなーという気持ちになります。
#PAのアンシミュ、ベースマンとVH4のモデリングはかなり使いやすい。最近入ったOrangeのモデルも良いぞ……
生々しいサウンドはそれだけ後処理が大変なので、
単体で使えるサウンドがポンと出てきて、空間系エフェクトもサクサクかけられるHelixは、時間とか労力というコストと出音のパフォーマンスのバランスが本当に良い。
僕のデモ音源づくり時のマストプラグインに成り上がりました。
Helix,HXシリーズを買ったけど正直HelixNative買うか迷ってる人。
DTMやってるorやる気あるなら買え。
既にお気に入りのアンプシミュがあるなら迷うのも理解できるけど
サウンドのバリエーションが増えるメリットや、HelixNativeの時間労力的なコスパの高さを考えたら、損にはならないと思います。
というか、
Helix,HXシリーズを買ったら3万円引きで1万円で買えるので
たぶん買わないほうが損、、、というのは言い過ぎかもですが買わないメリットは薄いのかなと。
総評
Helix譲りのサウンドクオリティを誇るプラグインアンプシミュ。
扱いやすく、使える音がスグ出るのでDTMやってるギタリストにはそこそこおすすめ。
ただしリアルタイムでの演奏は出来ないと思ったほうが良い。
HXシリーズ、Helixを買ったDTM系ギタリストはとりあえず導入すべし。
おまけ:ベースにはどうなの?
普通に使える。いい音。
コンプ周りがリダクションメーターないのでほぼ感覚だよりになるのが少し使いづらくも感じるけど、
ベース用のディストーションやアンプモデルも入っていて、かなりいい音出ます。
#定番のベードラから最近流行りのB9Kまで。アンプもハートキー以外の有名どころが。
パラレルルーティングができるので、HelixNative内でDI音とキャビのミックスみたいなことができるので、ベースもこれ1つで音作り完結できちゃう。
前段でコンプだけ別のプラグイン使うとかも全然アリだと思う。
追記:HelixNativeがクラッシュする話
なぜだか知らんが、
アプデかけてからHelixNativeが落ちて使い物にならなかったので、Line6のユーザーコミュニティ覗いてたら
「OSのドライブ認識順とかで、裏で読み込み不良になるらしいぞ」
との記載を見つけた。(ソースどこか忘れた
試しに、外付けHDDやカードリーダーなどを全て外してみるとすんなり起動。
最終的に、本体に内蔵させたマルチカードリーダーが原因だったことが判明しました。
(その他SSDなどは接続したままで大丈夫でした。)
詳しい理由は理解できてませんが、
HelixNativeが落ちる人は、試しに外部ストレージをなるべく外してから試してみてください。
僕からの情報は以上です。