バンドが自主配信ライブをやるときのTips(音声編)

自分のバンドで配信ライブやってみたりして、少し知見が溜まったので
僕なりの方法論的なものをメモとしてここに書き残しておきます。

だいたい対象となる人:

  • 自主配信ライブをなるべく高クオリティでやりたい人
  • DTMとか嗜んだことがある人
  • ロックバンド(パート数が5個くらいまで、、、)

多分対象にならない人:

  • ライブ配信したいが機材とかよくわかんない人
  • 複雑な楽器構成のバンド・オーケストラなど
  • ソロシンガー
  • 自分であれこれ試すのが面倒だなって思う人

はじめに:実際の配信時のレポート

まずは、実際の配信映像でどんな音になっているか確認してみてもらえれば。

実際の配信ライブのアーカイブが以下となります。

映像はちょっとまだ設定固まってなくて色々起きてますが
音声周りはそれなりにやってみたかったことが出来た感じだと思っています。

この配信時のマイクセッティングとしては
ドラム:バスドラ・オーバーヘッド*2の合計3本
ギター・ベース:アンプに1本ずつ
ボーカル・コーラス:各パート1本

ということで、マイクの本数としては合計10本ですね。
さらに余裕があるなら、ドラムのマイクを増やしたり、ベースをラインで録ったりすると良いと思います。

使用機材は、
マイクは基本的に全てスタジオレンタルのSM58、バスドラだけAKGのD112をレンタルしています。
オーディオインターフェースは、TASCAM US16、最大16tr扱えるオーディオインターフェースです。

MacbookAirを使用して、StudioOneのリアルタイムモニター機能を利用して
US16で受け取った信号にリアルタイムでエフェクト処理をかけた上でステレオmixにして、
それを別の配信用PCに渡しています。

とてもざっくりと図式化するとこんな感じです。

これは後できっちり解説します。

よくある、スタジオの配信ライブの仕組みって
各楽器に立てたマイクを、アナログのミキサー卓に渡してバランスとってそのままステレオ化
という流れが多い気がするんですが
それだと音があっさりしすぎてて、ショボく感じてしまうんですよね。。。

各楽器が聞き取りやすいといえばポジティブに聞こえますが、
実際にその場で聞いてる音に近づける作業が足りてないと僕は思います。

 

1.目指すクオリティとコストのバランス

前の章でサラッと言いましたが
配信ライブの音の目指すクオリティとしては、

  1. ライブでその場で聞いているサウンドに近い音
  2. リリースされた音源のサウンドに近い音

のどちらかだと思います。
もちろん、1=2となるバンドもあると思いますが

市販されている、メジャーアーティストのライブDVDとかも、
音源とは異なる、ライブ的な音響効果(リバーブとか)をかけている場合がほとんどです。

全パートマイク立ててるんだから、技術的には音源と同じサウンドにもできるはずなので
あえて、ライブ感を感じるMixをしているということになりますね。

ということを加味して
ここでは、1.ライブでその場で聞いてるサウンドに近い音 を目標としたいと思います。

ライブで聞く音とマイクで録った音を家でヘッドホンで聞く場合の違いとは??

ざっくりいうと

・空間的な響き
・空間的な配置
・音量

の3つが異なります。

空間的な響きや配置については、
実際のライブを聴く場合と、マイクで録るセッティングを想像して欲しいのですが

マイクというのは、
基本的にアンプならアンプのすぐ前、ドラムならドラムのすぐそばに置いているので
その位置で聞こえる音を収録します。
それをそのまま混ぜてヘッドホンで再生した場合、
耳元でドラムとギターが一緒に鳴っているという現実ではあり得ない構図になります。

一方でライブハウスなど会場で演奏を聴く場合は
楽器そのものから出ている音は、ステージ上の各楽器の位置から音が発せられているので
それぞれ聞こえてくる角度や距離が異なることになります。

そうした微妙な差異を人間は鋭く聞き分けることができる動物なので
マイクで録った音をそのまま混ぜただけだと、極めて不自然なサウンドに聞こえてしまいます。

 

グダグダ言いましたが
要するに、リバーブ掛けろ!ってことです。
あと、適度にパンも振りましょうねということ。

最低限、マイクで録るならリバーブは必須です!
キーボードなどのライン楽器も、リバーブをかけてあげることで自然な響きを加えてあげる必要があります。

 

そして、さらに言うなら
音源からの距離によってもサウンドは大きく変わってくるので
それを必要に応じてEQなどで補正してあげる必要があります。

 

そして、次に音量の差ですね。

人間の耳の傾向として
大きい音を連続で聴いている時は、大きい音の中での音量の大小がわかりにくくなっていきます。
ライブハウスなどの大音量であれば、大きい音がたくさん同時に鳴った時にはそれぞれの音量差がわかりにくくなって、全体的に聞き手に都合の良い音量で聞こえやすくなります。

DTMやってる人はすでにピンと来ているかもしれませんが
音量差がなくなる≒ピークを潰す に近い構造です。そう、コンプレッサーですね。

スピーカーなどの小音量でも、大音量で聴いた時のような効果を得たければ
コンプレッサーでいい感じに音を潰して慣らしてあげればいいってことですね。

俗に言う、音圧って言うやつに近いものですが、音圧の話は色々アレなので別途。。。。

 

と言うことで、
マイクで録った音をライブ演奏で聴いている音に近づけたかったら
・リバーブ
・イコライザー
・コンプ
の3つを各楽器、そして最終的なステレオトラックにいい塩梅でかけてあげれば良いって言うのが
とても乱暴にまとめた結論です。

ライブ配信で、各パートにマイクを立ててそれを達成しようとすると、
割と性能の良いデジタルミキサーか、アナログミキサーなら別途エフェクターが必要になりそうです。

 

ライブ感と聴きやすさのバランス

 

実は、もっと簡単にライブ感を出す手段があるんです。
わざわざエフェクターで再現するのではなく、
実際に演奏している部屋の反響
演奏している人たちの位置関係を使えば良いんですよ。

 

そう。
必殺、ステレオマイク一発録音!!

僕が思うに、
かなりあっさりコンプやEQ、リバーブをかけてミックスしたマイク録りの配信ライブより
きっちり調整を重ねたステレオマイク1本の配信ライブの方が、ライブ感が強いです。

ドラムの生音を中心に、各楽器の配置や音量をきっちりと調整するようなリハーサルを重ねて
クオリティを担保したステレオマイク録音は、その場で聞いているサウンドに最も近いサウンドになると思います。

 

回り道して解説してきましたが、
この章のタイトルは「目指すクオリティとコストのバランス」でしたね。

ロックバンドとして、ライブ感を優先するなら
コストパフォーマンス的に、僕はステレオマイク2本による配信ライブをお勧めします。

なぜなら、頭は使わずにトライアンドエラーで調整できる上に、明らかにライブ感が強いから。

 

じゃあ、目指すクオリティをどこに置いた場合に、マルチマイクでの配信ライブが有効なのか。

1つ目は、映像的なクオリティです。
マイクを置ければ立ち位置はどこでも良くなるので
音を優先した立ち位置ではなく、映像を優先した立ち位置にすることが出来ます。

2つ目は、配信ならではの聞き取りやすいサウンドを用意したい場合です。
ライブ感が欲しければライブに来い!
と言うことで、配信ライブは音源のように各パートがきっちり聞き分けられるようにしたい場合ですね。
だからと言って、ノンエフェクトで混ぜると音楽として不自然になるので
マルチマイクで各パートをきっちり録った上で、ある程度ライブ的に自然な聞こえ方になるように混ぜるのが得策です。

せっかく配信ライブをやるのだから、
多少の手間をかけてでも、普段のライブとはまた違った部分を全面に出したい!

そんな人が、マルチマイクでのちょっと本格的な配信ライブに手を出すべきかなと思います。

2.マルチマイク配信で必要な機材とか

クオリティの高い配信ライブがしたい!
マルチマイクで頑張るぞ!

となった場合、第一関門となるのが
機材力
です。

ここでいう機材力は
機材を用意できるかどうかと言うのと、その機材を使いこなすことができるかと言う
2つの要素を持っています。

とりあえず、必要な機材を確認していきましよう。

1.マイクとマイクケーブル
これは大抵のリハスタでレンタルしているので、自前で用意する必要はありませんが
必要な本数借りられるかどうかは事前に確認しておくと良いと思います。

最低本数は、パート×1本。
そこからできるならドラムのマイク本数を増やしていくことになりますが
最終的には用意できるオーディオインターフェースのチャンネル数次第となります。

お勧めのお手軽セッティングは、ドラムは3本。
最初に貼った動画と同じく、バスドラとOH2本で合計3本です。

マイクの機種は拘っても良いですが、基本的にはSM58や57があれば最低限問題ないと思います。
バスドラム用マイクが借りるか買うか出来ると、バスドラの音がかなり良くなってドラムが締まります。

2.オーディオインターフェース
これは持ってる……なんて思うかもしれませんが
ここで使いたいオーディオインターフェースは、複数chが同時録音できるものです。

できれば8ch以上あると嬉しいので、
僕も使っているTASCAM US16だとか、RolandのOcta-capture、
あとはZoomのR16とかも選択肢に入ってきますね。

結構高いので、配信ライブのためだけに買うのは気が引けますが
スタジオでレンタルしている場合もあるので、レンタルしているスタジオに狙いを絞って予約するのもありだと思います。

ただ、こういう機材はレンタルだと事前に使い勝手や設定の確認がやりづらいので、
別日にリハをしておかないと9割うまくいかないと思います。

3.ノートパソコン
地味に鬼門。オーディオインターフェースは借りられるし、マイクも借りられるんだけど
パソコンを貸してくれると言うスタジオは滅多にない。
スペック次第では音声ミックスと配信を同じパソコンで行うことも可能ではあるが
動作の安定性を考えるとそれぞれ別のパソコンを用意しておきたい。
なので、そこそこの性能のノートパソコンを1台自前で用意する必要がある。

(※カメラやHDMIキャプチャは、映像機材なので今回は割愛します)

 

 

音声系はざっくりまとめるとこの3つがあればなんとかなりマス。
できればバランスとか音作りの確認のためにヘッドホンも欲しいですが
これもスタジオで借りられることが多いです!
意外と嵩張るので、ヘッドホンはレンタルで済ませてしまうのがお勧めです!

 

3.マルチマイク配信のセッティングの概要について

 

ここで先程の画像が再登場します。

緑色の四角が音声Mix用のPC+オーディオインターフェースです。

楽器に接続するマイクは直接オーディオインターフェースに接続していますが、
ボーカルマイク類はスタジオのミキサーを経由させています。

なぜかというと、
配信用の音をスタジオのスピーカーから出してしまうと、楽器の音も再生されてしまうので
結局ボーカルは自分の声が聞こえなくなります。

なので、スタジオのスピーカーからは普段のリハーサルと同様に
ボーカルやコーラスのみ再生させたいのですが、同時に配信するにはオーディオインターフェースにも接続する必要があります。

 

ここで、マイクに二股のケーブルを使っても別に構わないのですが
ちょっとした工夫として、スタジオのミキサーに繋いであげることで
ミキサー側でコーラスを1chにまとめてからオーディオインターフェースに接続しています。

すると、声系のトラックがボーカルとコーラスの2chで済むので
オーディオインターフェースのチャンネル数が節約できますね。

上記の手法ができるかどうかは、備え付けのミキサー卓の機種にも寄るんですが
大抵のスタジオのミキサー卓には、
AUXと呼ばれるメイン出力とは別の出力端子があったり
SEND端子と呼ばれるエフェクト用の出力端子があったりします。

ミキサーの各chでどれくらい信号を送るか決められるので
AUXはボーカルのトラックだけ上げる、SEND(FX)はコーラスのトラックだけ上げる
とか設定にすることで、スピーカーで鳴らす信号とは別のルートでそれぞれの信号をGetすることが出来ます。

あとは、それをオーディオインターフェースに繋ぐだけです。
この接続には通常のシールドなどが必要になりますが、多分スタジオでも借りられると思います。

 

この手法であれば、
スタジオのスピーカーから声は再生しつつ、
その他の楽器のマイクも含めた全ての音声信号は、オーディオインターフェースに接続できるので
演者はいつものリハーサルと同様の環境で演奏できます。

音声Mix用PCでは、DAWを立ち上げてリアルタイムモニターをONにすることで
各トラックに設定したエフェクトをリアルタイムでかけた上でステレオ信号にすることが出来ます。

つまり、このミックスようPCのDAW内で、
ライブ感を高めるためのコンプ、EQ、リバーブをかけてあげれば
より高クオリティな配信ライブが実現すると言うことです。

 

4.マルチマイク時のマイク位置について

セルフでレコーディングしたことある人はわかると思うんですが
マイキングって難しいです。

マイクの本数が増えるほど難しくなるんですが
配信ライブとなると、全パートにマイク立てなきゃならないので、結構面倒臭いです。

私もプロじゃないので「ここがベスト!」という回答は持ち合わせていませんが
最低限気にすべき部分だけメモとして書き記しておきます。

ドラム

マイクの本数にもよりますが、

2本:バスドラ+オーバーヘッド1本 or オーバーヘッド2本
⇨曲のジャンルによって、バスドラをきちんと聞かせたいか、シンバルを綺麗に聞かせたいかで選択の余地があると思います。

3本:バスドラ+オーバーヘッド2本
⇨基本セッティング。この3本あれば一定のクオリティのドラムが録れます。

4本:バスドラ+スネア+オーバーヘッド2本
⇨スネアにエフェクトをかけたり、スネアを曲の雰囲気で効果的に使いたい場合に有用。
ただしオーバーヘッドに普通にスネアの音も入るので、FX使わないならスネアは裏からスナッピーを狙う方が有効かもしれない。

5本以上:タムとかを増やす
⇨もうレコーディングレベルになりますね……
ミックスでバランス取るのも難しくなるしセッティングも面倒なので
個人的には初心者にはお勧めしません。

ドラムのマイク位置についてはYoutubeとかに動画があるので探してくださいという感じですが
・バスドラは中に入れてビーターを狙い、バチバチうるさければ外側にずらしていく
・オーバーヘッドはスネアからの距離がおおむね等しくなるように
の2点だけでも守れれば、それなりに録れます。

バスドラはバスドラ用のマイクが使えるとモアベターですね。
オーバーヘッドはレコーディングならコンデンサーマイクを使いたいところですが
感度が良すぎても他のパートの音が綺麗に入ってきちゃうので、ライブ配信ならダイナミックマイクでも十分だと思います。

ギター

これもYoutubeにマイキングの動画がたくさんあるので、細かい手法は自力で調べてみてください。

とりあえず、スピーカーに向けてキャビにベタ付けしてください。
あんまり端っこだともっさりした音になるし、中心すぎるとジャキジャキした音になるので
迷ったら、スピーカ中心と円周の中間くらいにおけばそれなりに録れます。

ベタ付けするのは、後でまとめて書きますが
他の音が被ってくるのを極力防ぐためです。

ベース

プリアンプ使っているとか、ベースアンプにラインアウトがあるなら
ラインで録っても良いと思います。

その場合は、音が固い場合もあるのでEQやコンプで後で調整してやった方がバンド全体に馴染みます。

マイクで録る場合はギターと同じです。
個人的にはマイクで録っちゃった方が、他のパートとの統一感があるので
自然に混ざりやすくて好きですが、ローが録り切れないので
そこは割り切ってしまうか、ラインの音と混ぜることも視野に入れることになると思います。

全体の音被りについて

スタジオ内で音を鳴らしているので、
どうしても他のパートの音がマイクに入ってきてしまいます。

特に音源から離れているドラムのオーバーヘッドや
コーラスしていない間のコーラスマイクなどは顕著になります。

それも多少あるのがライブ感っぽくて良いのですが
あまりに入りすぎると変なエコーがかかっているように聞こえてしまうので
以下2点をできる限り気にしてセッティングします。

・アンプ類やボーカルについて必要以上に出音を上げない
⇨そもそもの音量が小さければ被りづらくなります。

・コーラスマイクの先に別の楽器やアンプを置かない・ギターアンプ類はドラムに向けない
⇨とはいえ、映像的な見栄えとかドラマーのモニター環境もあるので、なるべくそうする程度に感覚。

レコーディングではないので
音被りについては「それもライブ感!」と割り切りつつも
聞いてみて不快に感じない程度にはなるように意識しておきたいです。

5.DAWでのエフェクト

普段Mixとかやっている人にはほとんど釈迦に説法レベルのざっくりした話なのですが、
ざっくり僕が配信時にかけているエフェクト類の解説をしておきます。

基本的には、処理が軽い方が安心ということで
DAW標準のエフェクトをメインで使っています。

基本的には
各パートをコンプとEQで整える⇨マスターで音圧感と空気感を付与!
っていう流れですが、一応各トラックの解説もしておきます。

O.H.

2chをステレオトラックとしてまとめてしまっています。
なので、両マイクのレベルは頑張って合わせておきたいですね。
スネアやシンバルのインパクトについては軽くコンプで潰して全体のレベルは上げつつ
別にマイクを立てているバスドラはここで聴こえる必要がないので
ベースの被りを切る意味もこめて割と大胆にローカットしています。

B.D.

バスドラ内部に入れているので、他のパートの被りはそこまで神経質になる必要はありませんが
ベースの低音とかがアンプからかなり出ていると多少反響してしまう可能性はあるので、
必要に応じて、ローミッドあたりのウザい帯域だけEQでカットします。

バスドラはアタックを強調してあげると、全体を混ぜた時に存在感が出るので
コンプはアタックを遅めにしつつ、レシオ高めできっちり潰すようにしています。

Bass

今回はマイクのみでラインは無いので
どうせ録れてないのだからとローは割とカットしています。
バスドラで「ウザい帯域」とした部分を多少持ち上げるとバスドラとの棲み分けができるので
混ぜてみて違和感がない程度に持ち上げておきます。

コンプはスラップとかでピークある音色ならガッツリかけますが、
そうでないのでレシオは低めにして常に少し潰されるくらいの感じでふんわりかけてます。

Gt

マイキングがいい時は何もしないで済みます(笑
ギターは2本あるので、適当に50%でパンを振っていますが
スピーカーで再生することを考えると、100%にしても良いと思います。

今回は多くの人がヘッドホンで聞くと仮定して、50%でいい感じに馴染むようにしています。

エフェクトとしては、他のパートとの被りを避けるため、かなりローをさっぱりカットしています。
コンプをかけた方が音が前に出てくる感じで良いのですが
ギターソロのあるパートの場合、ブースト量が減ってしまうので
レシオは低めでほどほどに押さえておきます。
(別途オペレータがいるなら、フェーダーで上げてもいいですが)

バッキングで音色ないなら、それなりにコンプはきっちりかけてあげると音が揃って聴きやすいです。

Vocal,Chorus

配信用Mixのキモとなるパートですね。
他のパートとの被りを抑えるためにローカットするのはもちろんなのですが
あまりカットしすぎると声の太さが失われるのでどこまでカットするかは迷いどころです。

ボーカルはかなり音量の上下の激しいパートで
ライブのような大音量なら軽めのコンプでもそれなりに聞こえますが、
小音量での配信ライブになると他の音に埋もれやすくなってしまいます。
だからと言ってフェーダーで出しすぎるとボーカルばっか目立って、なんとなくバンド感が薄れてしまうので

ここは思い切って、割とガッツリとコンプをかけます!
(かけすぎると他のパートの被り音まで聞こえちゃいますが・・・)

画像で3つ目に入っているNeutronのEQは
ダイナミックEQとして使えるので、ディエッサーがわりに超高音域のみにかけてます。
なくても良いですが、あると耳障りな擦れるような音が防止できます。

声については、別途リバーブを入れています。
空間作りというよりかは、単純に常にかけるエフェクトの1つとして、入れておいたほうが上手く聞こえます(違)
ギターとかにも入れてもいいのですが、ギターはアンプでリバーブ入れていることもあったので今回は入れてません。

マスタートラック

全てのパートがミックスされた、マスターにもいくつかエフェクトをかけています。

1つ目のShadowHills..は有名な実機をモデリングしたプラグインです。
中身としては真空管オプトコンプ+FETコンプの2段コンプだったはずです。(多分)

1章で挙げていた、ライブの大音量による音圧感、を出すために
全て混ざったマスタートラックにコンプをかけるようにしています。

通常のコンプ2段がけでも似たようなことができます。
その場合は1段目はアタック遅めOR自動に設定して
2段目はアタック早めに設定すると良いと思います。

2つ目のbx_roomMSは、名前の通りルームリバーブです。
操作が慣れてるのでこれを使ってますが、普通にDAW付属のルームリバーブで良いと思います。
ライブの空気感を出すためにマスターにかけています。

イメージとしては
コンプで潰す≒スピーカーから大音量で出す再現
ルームリバーブ≒大音量で出した音が部屋で反響する再現
みたいな感じですね。

各楽器のEQやコンプはステレオ化するための音の整理が目的だったのですが
マスターにかけるエフェクトについては、完全にイメージする音を作るためのエフェクトです。

最後のLimitterはレベル調整と保険です。
ここまでのMixバランスを完璧にできているならピーク付近でいい感じの音になると思いますが
僕は時短優先で安全に、全体のレベルが-6~-8くらいになるようにミックスしがちです。
なので、全体のレベルを0dbに近づけつつ、ピークだけは絶対に超えないようにリミッティングを行っています。

ここで無理やり音圧を上げることもできますが
ダイナミクスの少なすぎる音は、それはそれでライブっぽくないと思うので
音圧感の調整はコンプに任せて、ここでは最終リミッターとしての役割のみを持たせたいと思います。

ポストにかけているSpectrumMeterについては
僕がスタジオ内でセルフミックスしていたので、演奏しながら配信音源をモニターできないので
変なノイズや全体のバランスが損なわれていないか目視確認できるように入れているだけです。
メーターを見て「EQもっとこうしようかな」みたいな使い方は特にしていないです。

DAWでエフェクトをかけるメリット

まず、エフェクトの自由度の高さです。

大抵のスタジオのミキサー卓には
1ノブの簡易的なコンプ、3バンドEQが各トラックにあり
ちょっと良いやつだと、センドでデジタルエフェクトが使えたりします。

うまく扱えばミックスするところまではいいんですが
マスターバスにエフェクトをかけるためには、別途エフェクターが必要になります。

DAWなら、処理能力が許す限りはエフェクトが自由にかけれられますし
設定項目も詳細に設定できます。

 

そして、もう一つのメリットは
オペレータ不在のセルフ配信ライブでも自ら音量バランスが確認できるということです。

通常であれば、配信された音を聞きながらバランスを取るということで
スタジオの生音が聞こえない環境でリアルタイムでバランスを取る必要があるのですが、
DAWでレコーディングボタンを押してリハーサルをすれば、実際に収録される音が録音されるわけなので、
そのまま再生してバランスを取れば基本的にはそのバランスで配信できます。

セルフ配信ライブの場合、メンバーのみでスタッフなしということもあると思いますが
その場合も、効率よく音量バランスが調整できます。

 

最後のメリットは、
配信時の音を録音しておけば、後できっちりミックス+マスタリングなどすれば、
ライブ映像として別途より高クオリティな動画が作成できるという点ですね。

単なるアーカイブだと配信時の出音なので、多少うまくいかない部分もそのままになると思いますが
改めてCPUの処理能力を使い切って良いエフェクトをかけたりとか、音量も調整したりして
よりクオリティのライブ動画のアーカイブが残せます。

まとめ

①配信ライブの音質について方向性を決めよう!
 ライブで聴いてるっぽい音にするのか、音源っぽくするのか。
 ライブっぽくするなら極論はステレオマイク一発での収録も視野に入れても良いと思います。

②演奏しやすい環境を作ろう!
 配信ライブだろうとなんだろうと、演者のパフォーマンスが第一なので
 配信する音声の制約がある部分はバランスをとりつつ、なるべく演奏し易い環境を作りましょう。

②収録した音にはエフェクトをかけよう
 ミキサー卓内蔵のエフェクトだと少し心許ないので、クオリティを上げたければDAWを使いましょう。
 コンプ+EQ+リバーブ の3つだけでもちゃんと使えばかなり聞きやすくなりマス。

 

終わりに

僕が紹介した方法は、自己流のやり方を多分に含む手法なので
本質的に間違ってる部分とかあるかもしれませんが、とりあえず配信ライブとしての体は成しているので
自前で配信ライブしてみたいよーって人は参考にしてもらえたらと思います。

基本的な部分の考え方は、
2020年のInter Beeの講演にあった「配信を伴うハイブリッドライブの音響」みたいなセミナーで
「配信用には、改めて2mixに対してPCのプラグインとかでエフェクトをかけたものを配信してます」
的なことを言っている方がいて、その人のやっていたことを参考にしています。

まだまだ僕もやり方研究途中なので
セルフ配信ライブしたいよーっていう僕の知り合いとか知り合いの知り合いがいたら連絡ください。
都内で日程が合えば音響スタッフとしてお手伝いしに行きます……
(最低限でいいなら映像もできます)

 


おまけ:冒頭の配信ライブの反省点と改善メモ

  • 思ったよりドラムが左右に広がった、スネアがセンターに居ない気がする。
     ドラムのマイキングがちょっと雑だったかも。
     スネアからの位置とマイクの向ける方向をきちんと調整したい。

  • ギター音量でかい気がする
     ギター好きなのでw 自分の音聞こえないの嫌なのでww 仕方ないですww
     ……次回から気をつけてバランス取ります。
     オペレータがいれば良いんだけど、居ないのでリフやソロも聴かせるとなると、多少やむなしかなとも。

  • ボーカル細い?
     改めて聞くともっとぶっとい音にできた気がします。
     隼人さんのボーカルがパワーあるから助かってるけど、そうじゃない場合少し埋もれそう。
     コンプの設定もそうだけど、多少サチュレーションとかかけても良いのかもしれない。

  • もっと音をまとめても良いかも
     改めて聞くと思ったよりさっぱり、各パートがはっきり聞き分けられるようなミックスになっていた。
     個人的には、もっとぐしゃっとひとまとめにしてもよかったかなとも思う。
     マスターのコンプとリバーブの設定見直しかな。。

 

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