個人・同人における歌声合成ソフトの商用利用について(VOCALOID,CeVIO,SynthesizerV)

巷には初音ミクなどVOCALOIDの楽曲が溢れているし
比較すると少ないものの、CeVIO ,Neutrino ,SynthsizerVの楽曲もたくさんYoutubeやニコニコにありますね。

M3などの同人音楽イベントでも、初音ミクをメインボーカルにした同人作品などを見かけることが多々あります。
(というか私も出してますが)

話は少し変わりますが、
特にIT系のお仕事をしていると、聞いたことがあるであろう
「オープンソース」だとか「商用利用可」といった単語。

多くのソフトウェアは、有償無償問わず、開発者が手間暇かけて作ったソフトウェアであり
そのソフトの使い方については、開発者側が制限を設けられるようになっています。

その制限については、ソフトウェアの利用規約や、ライセンス利用規約として
ソフト購入者は必ず目を通すように定められています。

みなさん、ちゃんと読んでますか?

ぶっちゃけ、僕も全部読んでいるとは言えませんが、
時々は気にするようにしています。
特に金銭の発生する作業を行う場合は、できればきちんと確認しておいた方がいいです。

 

というわけで、今回は
巷の歌声合成ソフトにおける、商用利用の利用規約についてサラッと確認してみたいと思います。

 

※注意事項

この記事の筆者は法律の専門家ではないので、規約に書かれている文章の解釈が間違っている可能性があります。
より正確な判断が必要とされる場面では、直接各ソフトウェアの開発元へ問い合わせるようにしてください。

この記事は、”規約守ってないやつ死ね”という趣旨ではなく
”いいソフト作ってくれたんだから、そいつらの言うことは尊重しようぜ!”ってスタンスです。
正義マンになるもならないもご自由にとは思いますが、僕は関与したくないです。

大まかな結論

忙しい人のために三行でまとめましょう。

・個人の私的利用、動画サイトでの利用などはどのソフトも基本的に自由。(良識の範囲内で)
・商用利用の内、同人活動(イベント頒布や交通費や原価程度を回収する小規模な販売)は概ね認められている。
・合成音声を使用した楽曲を販売することと、キャラクターの商標を利用すること(ミクの画像やその名前をクレジットすること)は別の権利なので要注意。後者は厳しい。

商用利用とは?

https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%95%86%E7%94%A8%E5%88%A9%E7%94%A8

まずはニコニコ大百科の記事を読んでくれ。

ざっくりいうと、お金を受け取り利益をあげる活動全般を指す。
個人活動だろうが、同人活動だろうが、利益を目的としていれば同人活動だ。
じゃあ、赤字の同人活動はどうなのか!とか、無料のイベントはどうなるの?とか色々わかりづらいが

結論としては、
それは開発元に問い合わせるしかない!

例えば、DTMのフリープラグインなんかは
販売する音源に対して使うことは基本的に許可しているものが多い。
しかし、有料の素材集の1部としてそのプラグインを販売したり(いわゆる二次配布)
そのエフェクトをかけることだけを利用した商売(エフェクト代行みたいな?)
のような、明らかにソフトウェア本来の使用目的から外れた利用方法を禁止しているものが多い。

どれも商用利用には違いないが、その中でさらに許可・禁止が分かれている。

有料ソフトで金払ってるからセーフだよね?ということでもなく。
例えば、アカデミック版のCubaseは商用利用を禁止している。

利用規約というのは、開発者・販売者側に定める権利があり
ユーザーはそれに従う義務がある。
というか、インストールやダウンロードする過程のどこかでそれに同意することを宣言している。

もちろん、商用利用の産む以外にも規約はいくつか記載されているが
一般ユーザーにも関わってくるのは、おそらく商用利用可能かどうかの部分が一番だと思う。
(そのほかは、リバースエンジニアリングの禁止とかだから・・・)

何か金銭を発生させるような作業でのソフトウェアの利用時には、
必ず利用規約を再確認するようにしたい。

インストール時に出てくる「同意する」ボタンはただのボタンではなく
契約書へのサインと同義だからね。

 

VOCALOIDの商用利用について

ここでは僕も持っている最もメジャーなVOCALOID、初音ミクを題材に取り上げる。

初音ミクはCRYPTONが販売しているので、その他のライブラリを使用する場合はまた違った利用規約があるかもしれないので注意。

初音ミク V4X エンドユーザー使用許諾契約書

ユーザー使用許諾についてはググったら出てきました。

第2条(使用許諾)

1. 当社らは、ユーザーに対し、本契約を遵守することを条件として、本製品を使用する非独占的、譲渡不能、且つサブライセンス権の無い権利を許諾します。

2. ユーザーは、本製品を一台のコンピューターに限り、使用することができます。

第3条(追加の許諾が必要な場合)

1. ユーザーは、自らが生成した合成音声を、商用または非商用を問わず利用することができます。ただし、以下の各号に示す目的または形態で使用する 場合は、事前にクリプトンまでお問い合わせください。なお、使用形態によっては、ライセンス料を含め、追加の使用許諾契約をさせていただく場合 があります。

(1) 合成音声を用いた商品・役務における表示 「VOCALOID」「ボーカロイド」「VOCALO」「ボカロ」、本製品のタイトル(「初音ミク V4X」または「初音ミク」)、またはその他これらに類 する表示(以下「契約表示」といいます)を、合成音声を使用した以下のような商品・役務において記載する場合
(a) 歌手名、アーティスト名、楽器名、その他何らかの形でクレジットが表記され、且つ契約表示が記載されている商品・役務
(b) その包装や宣伝物等一切の宣伝広告行為において、契約表示が記載されている商品・役務
(c) 映像作品のオープニングやエンドロール等に、消費者が認識できる形態で、契約表示がされている商品・役務

(2) 商用カラオケでの使用 商用カラオケソフトウェア、カラオケハードウェア、インターネットを使用したカラオケシステムその他の商用カラオケ製品、またはカラオケ サービス(オンライン、オフラインおよびその他あらゆる形態を含みます)に合成音声を使用する場合。

(3) 電話/携帯電話着信音等の商用目的での使用 電話機(携帯電話を含みます)および電話用機器(併せて以下「電話機等」といいます)の呼び出し音、警告音等(着うた等、専ら音楽として 娯楽の用に供する目的で販売される音源を着信音として使用する態様は本号に含みません)として合成音声を商用目的で使用する場合。

(4) 機器への組込みその他の音源としての使用 前二号に定めるものの他、家電、ロボット、パチンコ等のアミューズメント機器、カーナビ等車載用機器、電子楽器、DTM 含む PC ソフト、 スマートフォン用アプリ、タブレット用アプリ等の電子計算機端末用アプリ、またはゲーム等の音源として合成音声を使用する場合。

(5) 商用映像作品での使用 商用映像作品(アニメーション、コマーシャルフィルム、ゲーム等を含みこれらに限りません)内の人物やキャラクターが歌ったりパフォーマ ンスしたりしていると取れるような態様で合成音声を使用する場合。

(6) 法人による商用 CD 等での使用 法人によって製作(自ら録音物を制作する場合と、第三者から録音物の提供を受ける場合とを問いません)され商業的に使用される CD、レコード、 録音テープ、MD、ハードディスク、フラッシュメモリー、IC メモリーカード、およびその他の録音物(併せて以下「商用 CD 等」といいます) に、合成音声を使用し頒布またはその収録内容を配信して使用する場合。

2. ユーザーは、自らが生成した合成音声または合成音声を含む楽曲を、前項各号の目的または形態(ただし、前項第 1 号の場合においては、契約表示の うち対象製品のタイトルまたはタイトルに類似する表示を記載するとき)で第三者に利用許諾(商用 CD 等への楽曲の供給や、着うたでの配信を目的 とする楽曲の供給を含み、これらに限りません)するときは、当該第三者に対し、事前にクリプトンまで問い合わせるようお伝えください。

少し長いですが、気になるところを抜粋して太文字にしてみました。

  • ユーザーは、自らが生成した合成音声を、商用または非商用を問わず利用することができます。

この一文があるので
基本的には、初音ミクを使用した音源は商用だろうが問題なく利用可能です!

そもそも、DTMにおけるプラグイン音源と同じ扱いですね。ソフトでの成果物(楽曲)は自由に使っていいよということ。

ただし、その後に例外として、ライセンスが必要な状況をいくつか例示しています。

  • 「VOCALOID」「ボーカロイド」「VOCALO」「ボカロ」、本製品のタイトル(「初音ミク V4X」または「初音ミク」)、またはその他これらに類 する表示(以下「契約表示」といいます)合成音声を使用した以下のような商品・役務において記載する場合

つまり、
ここで挙げている「VOCALOID」「初音ミク」などの単語を使ってはいけないよということ。

おそらくこれは、これらの単語は商標登録されているのだと思います。

ヤマハやクリプトンがきちんと関わって、クオリティコントロールできているもののみに
こうした「VOCALOID」や「初音ミク」といった名称を使うようにすることで、
製品やブランドのイメージのコントロールをしたいのだと思います。

 

なので、
メジャー流通しているボカロコンピとかのCDは、クリプトンへ許諾申請した上で流通しているはずです。

こういうのね。

 

特にジャケット画像やロゴなどを使用している場合は
それらの利用権も取得する必要があります。

 

クリプトンのFAQにズバリの質問があったので、ここで紹介しておきます。

https://ec.crypton.co.jp/support/faq/363

その他「初音ミク」などのキャラクターやVOCALOID技術を注目させる文章表現等(例:「ボーカル:初音ミク」、「featuring初音ミク」、「初○ミク」など)も同様に別途弊社での許諾が必要となります。

初○ミク もNGワードですw

最後に、開発元のクリプトンのインタビュー記事を紹介する。

https://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2008/03/18/18840.html

初音ミクに関する権利は、「製品」と「キャラクター」で別々のガイドラインを定めているという。まず製品については、製品パッケージの使用許諾契約書で、楽曲制作のために製品の合成音声を利用することを許諾している。そのためユーザーは、初音ミクを使って制作した音源を公開・販売できる。ただし、初音ミクのキャラクターやVOCALOID技術などを連想させる言葉や画像を用いて商用利用する場合は、クリプトンから事前に使用許諾を得る必要がある。

初音ミクのキャラクターに関しては、クリプトンが著作権を有している。同社が公開している画像をモチーフにした二次創作物は、非営利目的で公序良俗に反しない限り使用を認めている。キャラクター画像の二次創作のガイドラインでも、「営利目的ではない趣味の範囲で制作し頒布する場合(ただし立体物、衣装を除く)に限り、一切の制限を行なっておりません」と記している。「基本的に、二次創作したイラストをネット上に公開することは禁止していないが、二次創作物を販売する際には『お話ししましょう』という考え方」(伊藤氏)。

 

ここまで確認した内容をまとめると

  1. 「初音ミク」や「ボカロ」の表記なしでの音源販売:OK!
    僕の販売している1st Onewayも初音ミクを使用した楽曲が含まれているが、ジャケット等には一切クレジットを入れていない。
  2. 「初音ミク」表記での動画サイトでの楽曲投稿など、非営利での利用:多分OK!
    クリプトンの規約には「商品への記載」とあるので、非営利での利用については当てはまらないはず。
    ただまあ、別の条項で公序良俗に反しないこと、みたいなことは書いてあるので
    あまりにも変態的な作品はNGと言えるかもしれない……
  3. 同人イベントでの「初音ミク」表記での音源頒布:……グレー!(多分OK!)
    インタビュー記事の”趣味の範囲で制作し頒布する場合”に含まれると思われる。
    ただし、これはクリプトンのコメントであり、VOCALOIDの本体であるヤマハのコメントではない。
    まあ、よっぽどあくどいことしなければ多分大丈夫。
  4. 「初音ミク」や「ボカロ」の表記での一般流通(サブスク配信を含む):NG!(ただし例外あり)
    基本的には、名前を使っての商用利用はNGです。
    ですが、最近は文化として定着していることもあり、配信サービス側で許諾をとっているものもあります。
    https://big-up.style/zine/article/service/20210216-10604
    https://magazine.tunecore.co.jp/skills/147124/
    そこそこ人気が出てきて、利益をあげたいと考え始めている方は、こうしたサービスを利用するのが良いと思います。

 

まとめ:
「初音ミク」とか「VOCALOID」って表記を使ってお金を受け取る場合は注意しよう。

※クリプトン以外から発売されているVOCALOIDライブラリ(GUMIとかIAとか)はまた別の規約があると思います。

CeVIOの商用利用について

https://cevio.jp/commercial/

CeVIOの公式サイトにガイドラインが掲示されています。

CeVIOプロジェクトのキャラクター「さとうささら」「すずきつづみ」「タカハシ」、及び生成した音声データ(音声波形)は、
非商用の用途ならば無料で利用することができます。

非商用利用について

個人及び同人サークルの趣味の範囲内で、無償または原材料費程度の対価・利益を得て行う小規模な利用は、無料です。
ご利用の際はキャラクターライセンスをご参照ください。

ということで、CeVIO公式のささらさんとかについては
まず最初に同人活動までならいくら使ってもOK!と記載されています。

その後、商用利用について事例ごとにまとまっていて
かなり分かりやすいのでここでの紹介は割愛します。
上記のリンクから大元を確認してください。

ざっくりいうと
・動画投稿はOK!必ず利用しているソフト名やキャラクター名を入れてね!
・その他商用利用は登録必須!

後発ソフトだけあって、二次利用のガイドラインがかなり整理されている印象です。

せっかくなので、僕が持っているサードパーティ音声ライブラリの利用規約を確認してみます。

ONEの場合

http://1stplace.co.jp/contact/voice_character_rule.pdf

1stPlaceから販売されている音声データの使用ルールです。
CeVIOだと、ONE CeVIOAIだとONEとIAが当てはまるはずです。

コピペできないので引用はしませんが

  • 個人・同人サークルでの音源としての使用は制限なし。パッケージには「CeVIO」って記載を必須。
  • 例示していない特殊用途については問い合わせてくれ
  • キャラクター名の利用は非営利のみ無償で利用可能
  • キャラクター名の営利利用はいくつか条件があるので規約を読むこと

ボカロ同様に製品とキャラクターを別に考えていますが
キャラクター利用側も含めてかなり良心的な印象です。
まず、同人活動としての音源利用においてはほぼ制限がないと考えても良さそうです。

東北きりたんの場合

超分かりやすいフローチャートが公式から。

基本的には、
同人イベントはOK!動画利用もOK!
その他商用利用はライセンス料取りますよ。というスタンス。
(ちなみに、NeutrinoのAIきりたんも同様です)

とはいえ、これは東北ずん子さんのライセンス規約なので
これとは別にCeVIOライブラリ販売元のAHSの規約を確認する必要があります。

https://www.ah-soft.com/licensee/

AHS側としては
基本的にはCeVIOのガイドラインと東北ずん子側のガイドラインに従う
という方針の模様。

CeVIO側は、サードパーティに言及していないので参考にする程度として
東北ずん子側で整理されているライセンスに乗っ取って利用するのが良さそう。

Synthesizer Vの商用利用について

https://www.ah-soft.com/licensee/

SynthVは多くがAHSから発売されているので、またAHSのライセンスを確認します。

・VOCALOID、Synthesizer V 製品全般

製品のキャラクター(絵・名称)を使用せず、製品で作曲した楽曲のみを配布される場合は使用許諾契約書に則っていただいている限り、営利非営利問わずご連絡頂くことなくご利用頂けます。

こちらも製品の音声とキャラクターを別として捉えていて
少なくとも、製品を利用した作品については商用利用も可能です。

キャラクターについては、キャラクターごとにライセンスが定められているはずです。

 

Saki AIの場合

https://www.ah-soft.com/synth-v/saki/

※公式サイトからの引用。

必須記載事項というところに書いてありますが、
製品版であれば、Sakiを使用していることを記載することは可能とのことです。

そもそもSaki自体が、キャラクターイメージ等も無いライブラリなのですが。
とりあえず、名前を使うことはOKのようです。

 

ここまでのまとめ

 

全てのソフトにおいて、
同人イベントにおける、その音源を用いた音源の販売はOKとなっています!

ただし気をつけるべきポイントは
音声ライブラリの販売元によって、商用利用に対するライセンスが異なること。

同じCeVIOでもONEは商用利用可能だが、きりたんは登録が必要になる。

 

また、
その楽曲の販売とは別に、ソフトの名前を使う場合は特に注意が必要。

VOCALOIDに関しては名前を使うのは基本的にNGだし
CeVIOの場合は、逆にCeVIOと表記することが必須だったりする。

 

僕の印象としては、
楽器として扱う分には、ボカロとSynthVは自由に使えるので
CeVIOだけ少し毛色が異なる印象。

ただし、利用登録のみで、特に有料というわけではない。
CeVIO自体が研究開発によるプロダクトであるというところが毛色が違う理由だと思う。
CeVIOProが出た際にどうなるかはちょっと気になるけれど。

一方で、
キャラクターの利用規約については、ソフトというよりかは
音声ライブラリ毎、キャラクター毎に変わってくる。

自分の使っているキャラクターやこれから買おうとしているキャラクターについては
きちんと確認しておいた方が良いかもしれない。

 

動画投稿のみで満足するクリエーターはあまり気にしなくても良さそうだけど
もし、同人音楽イベントなどに参加するクリエーターは、一度は気にしてみると良いと思う。

 

※注意事項

この記事の筆者は法律の専門家ではないので、規約に書かれている文章の解釈が間違っている可能性があります。
そもそも、規約ではない文章を引用している箇所もあります。
より正確な判断が必要とされる場面では、直接各ソフトウェアの開発元へ問い合わせるようにしてください。

この記事は、”規約守ってないやつ死ね”という趣旨ではなく
”いいソフト作ってくれたんだから、使う奴らはそいつらの言うことは尊重しようぜ!”ってスタンスです。

 

 

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