ステンレスフレットへ交換のススメ~①依頼編

フレット交換の依頼をしてきたので、そこで得た知識とかを色々メモしておく記事。

今回は、お気に入りのストラトのフレットをステンレスフレットにリフレットするのが目的。

すでにメインギターの片割れであるテレキャスの方はステンレス化しているので
ストラトもそれに合わせる形だ。

①スペックの事前検討

とりあえず、目的に合わせて「こんな感じがいいなー」というスペックを先んじて決めておく。

僕の場合は、テレキャスという実例があるのでそれを基にいくつか変更点を考える。

・フレットをステンレスフレットに打ち替える

第一目的。
前回ステンレスフレットに変えて思ったのは、耐久性云々の前に単純に弾きやすくなったということだったので、
メインギターは全部ステンレスフレットに変えたいと思った。
あとは、摩耗に強いということで、自宅での作曲からバンド活動まで幅広く使うギターなのでゴリゴリ使っても状態が変わらず耐えうるのはありがたい。

難点は工賃が高いということと、ステンレスが硬くて加工が面倒なので実施していない工房もあるということ。

その点、今回のアストロノーツギターズさんは料金表にステンレスフレットのオプション価格があったので、まず選択肢入りした次第。

ケースに入れての移動が多い人は、フレットガードを入れないと弦とフレットがガシガシ当たって削れていくので、そうした面でもステンレスフレットにすると、あまり気を使わなくてもとりあえず大丈夫という嬉しさはある。(本来はフレットガード買えって話だけど。)

・ステンレスフレットの中でも、耐久性の高い硬めのものを使う。
Freedomの柔らかいタイプのステンレスフレットは、ニッケルと同じくらい削れるらしいので、
ここは、テレキャスと同じくJescarのフレットを第一候補としておく。

・フレットは大きくして演奏性を高めたい
ジャンボフレットは演奏性が高い、と聞いたことが合ったので大きめのフレットにしたい。

・バランスをとるためナットは交換したい。
ステンレスフレットにすると音が固くなりやすいという印象から、ナットをオイル牛骨か、もしくはチューニングの安定性を狙ってTUSQにしたいが、材質の傾向がよくわからないので、これは当日相談しようと思う。

ということで、さっそくそうした内容を伝えつつメールでコンタクト。
今回は、ワンマスター制作とかで話題の
アストロノーツギターズさん:http://astronauts69.com/
におまかせすることに。

②お店でスペックの相談

上記のスペック要望は伝えた上で、ギター本体を見ながら細かいパーツの選定やセッティングの話を詰めていく。

わからないところを都度聞いていったので、その問診だけで小1時間付き合っていただき、色々と得た知識もあったので
せっかくなので忘れないうちにメモしておきたい。(この記事の本題。)

ステンレスフレットについて

僕の認識は間違っておらず、Freedomの柔らかいタイプのものはニッケルと同じように削れていくので、耐久性を求めて交換するのはおすすめしないとのこと。
耐久性を求めるなら、Freedomなら硬い方、そうでなければJescarとかが良いとのこと

もともとJescarでお願いするつもりだったので、
ここは意見を聞いた上であらためてJescarを使用する方針で依頼しました。

フレットのサイズについて

まず、僕のギター自体の話も関わってくるので、一旦ギターの説明をすると
FenderのRoadworn60’sStratocasterということで、
スペックは60年代ベースで、ところどころモダナイズされてる。

どのあたりがビンテージスタイルなのかというと、見た目だけでなく
ネックの細さと指板Rがビンテージ寄りとのこと。
逆にモダンな部分は、PUとフレットは割とモダンなモデル。

というところを把握した上で、いろいろ説明をしてもらえたのでそれを書き綴っていく。

・フレットの幅にまつわる変化

幅、弦と平行方向の大きさについてですね。
こちらも、いくつか種類があるらしいのですが、サイズで言われても僕にはちんぷんかんぷんだったので、サウンドや音の傾向で説明してもらった。

幅が狭いフレットは、オールドフェンダーに近い仕様ということになる。
同じフレットの高さであれば、当たり前だけど勾配が急、極端に言うと鋭い三角形に近いカタチのフレットになる。

急になるということは、押弦したときの弦との接地面が鋭いことから
多少シャープな音色になるとのこと。
また、スライド時の感触も、フレットが急勾配なので凹凸というよりかは、障害物があって引っかかりやすく感じる場合があるとのこと。

逆に幅が広いフレットは、割とモダンなギターに多くて
カタチ的には勾配がゆるやかなかまぼこ型に近いカタチとなる。

サウンドの傾向も、さっきとは逆になり
押弦した際の弦の接地面のカンケイから少しだけシャープさに欠けるとのこと。

また、質量的にも幅が広いほうが大きいことになるので
弦振動が伝わる物理的な金属質量の割合が増すため、多少金属よりのサウンドになるとか。

・フレットの高さにまつわる変化

これは分かるとおもいますが、指板と垂直方向の大きさのことです。

これもいくつか種類はあるらしいですが

高いフレットは極端な話スキャロップドで得られるメリットに近い恩恵が受けられます。
押弦した際に、指板との距離があるので弦の張力の関係から、指板との摩擦が減るためチョーキングやビブラート時の演奏性が向上します。
ただし、指板との距離があるということはそれだけ、弦を強く押さえられてしまうということなので、わずかにチョークアップされた状態に近いサウンドになるため、押弦の強さとコードの和音などの響き方の関係性がよりシビアになるとのこと。

低いフレットはその逆で
指板との摩擦が大きいため、チョーキングやビブラートはやりにくいが
押弦によるチューニング変化が少ないため、音程は安定しやすいということ。

あとは、ステンレスフレットだと全然関係ないですが
貧乏性の方は、高いフレットであればすり合わせによる再調整の回数が多く取れるというメリットが無くもない。(やるたびにフレットの高さによる恩恵が薄れていきますが。。。)

あとは、フレットの処理として
手に引っかからないように、フレット端が斜めに切り落とされる部分について
高いフレットであれば、同傾斜で切り落とした場合は斜めに切り落とされる幅が増えるので、0.数ミリ単位でフレット上の演奏で使える範囲が変わってくるとのこと。

特にフェンダーのヴィンテージスタイルのギターはもともと弦が指板のギリギリまであるような設計になっているので、この0.数ミリが演奏性に影響する場合もあるとのこと。

 

一応ジャンボフレットを想定していた僕でしたが、
色々相談した結果、最後のフレットの有効範囲が決め手となり、現状とほぼ同サイズのフレットに交換することに決めた。
#モダンなモデルではあるので、もともと幅は広めだった

 

ナットの交換・材質について

ナット交換の費用はフレット交換費用にに含まれてますだって。ヤッター!

というところは置いておいて。

僕の見込みとしては
ステンレスフレットでジャッキりするサウンドを少しでもおさえる意図で
倍音感よりも芯が残るようなサウンドにしたいな―と思っていて

チューニングの安定性も考慮するなら、TUSQあたりも選択肢に入るな―と思っていた。

で、実際に相談してみると
樹脂系のナットは倍音が増えるよ、とのこと。

レスポールとかのハムバッカーのギターで、ちょっと倍音感増すために交換するのはオススメなんだけど、フェンダー系はオーソドックスに牛骨とかで安定感あるサウンドにまとめるのが良いとか。

まぁ、そういうことなら
テレキャスでの実績もあるので、オイル牛骨ナットへの交換という結論に。

 

最終的に

概ね現状のフレットと同サイズのJescarステンレスフレットにオイル牛骨という
テレキャスとほぼ同様のリフレットメニューに落ち着きました。

ネック幅とフレット高さの関係がやっぱり気になって、現状よりジャンボ化は諦めました。

僕のメインギター2本のコンセプトである、
見た目はビンテージ、中身はモダンを体現するストラトが出来上がるのが楽しみです。

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