アニメ:86ーエイティシックスーを見て1巻小説を読んだ

https://anime-86.com/

アニメ86ーエイティシックスーを
放送終わってからまとめて見たので、ちょっと感想とかを書き殴って記録しておきます。

 

ネタバレありなのであしからず。

とりあえずアニメ見終わっての一言感想

話がっ!重いっ!!

まあ、戦争と人が死ぬとかそういう舞台設定でやるとどうしても重くなりますよね。

小説はまだ完結してないということだけど、
アニメはまああれで完結という認識でいい気がする。

人が死ねば簡単に感情を揺さぶれて、感動する物語になるからずるい
というのは誰の言葉だったか。
その言葉を聞いてから、人が死ぬ物語をみるたびに思い出すので、とんでもない呪いの言葉だと思う。
(と言いながらこんなところでさらに呪いを広げる悪い奴が僕なわけですが)

 

テーマというか、主軸となるのはやっぱり
主人公が差別に対しての認識が変わっていくところだと思う。

シンの兄弟の因縁とかそういう部分は
話を盛り上げるための舞台装置かな。

最初イメージ絵とか、多脚戦車とか見た時は
雰囲気的に「All need is kill」みたいな感じかな〜と思ったりもしてましたが
当たらずとも遠からず。シンと兄の関係は近いものがありましたね。

ただ、そこはメインではなくメインはレーナとシン及びスピアヘッド小隊との関係性にあるので
最終的な印象としては全く別な感じがしました。

 

アニメ86の良かったところ

音楽と情景描写を含めた緩急が良かったと思う。

ストーリー設定的には、
差別する側にいる人が、差別される側に共感していく構図で
そう目新しいというわけではないと思うのだけど

日常シーンの間の取り方や空気感、
戦闘シーンの殺伐とした風景

というギャップが時間の割き方と流れる音楽の傾向も含めて
映画的な重厚な雰囲気を感じさせてくれたおかげで
構図自体の目新しさはなくとも、グッと心を持っていかれる感じだった。

小説版も評価が高いが
個人的には、アニメ入りだと小説版の描写で物足りなくなる可能性すら感じる。(読んだことないけど)

戦闘シーンはほどほどにあっさりで
やはりメインは戦闘ではなく人間模様であることを感じさせる構成だった。

 

アニメを見てから小説1巻を読んだ感想

と、ここまでが小説を読む前の感想で(本当に読む前に書いた)
色々と評価も高いということで、小説も読んでみようかなと。

アニメで見た部分が4巻分とかだったらちょっと読むの時間かかるなと思って読み始めたら、
1巻の内容を少しリファインした程度だった。良かった。

86そのものの感想じゃなくなるんだけど、
改めて小説で読むと、昔読んだ「とある飛空士の追憶」を少し思い出した。

情景描写とか、立場の違いという舞台設定とかがなんとなく似ている気がした。
最も、とある飛空士を読んだのはもう10年近く前ということもあり、記憶がどこまで確かかはわからないが。

あとは、次の巻につなげるためだと思いますが
小説版のあのエピローグ感じは好きですね。
最後再会するところではなくて、レーナが覚悟を決めて戦い続ける描写が描かれていたのが嬉しい。
アニメ版だと、なんとなく過去を振り返ったレーナが居てそれで終わってしまったから。

作中のドラマが、どんな風にして未来に繋がっていくのか
そういう、作中世界のその後を感じさせる雰囲気が僕は好きみたいです。

ざっくりいうと「俺たちの冒険はまだまだ続く!」って前向きに終わって欲しいというところ。
何かを達成してハッピーエンド、ではなく。その先に見えない未来が続くからこそハッピーエンドなんだと思います。

なので、別に最後にシンたちと再会する必要はなかった。
再会できるかも、という描写だけ残して再会せずに終わるのが個人的には一番気持ちよかったかも。

まあ、それは僕の好みの話だからどうでもいい。

 

とある飛空士もそうでしたが、
1巻がこう小綺麗にまとまっていると、結局その後の巻はそのキャラクターたちのその後が気になる惰性で読み続けちゃうところもあると思っていて。
ぶっちゃけ、続刊は「すげえ面白い!」みたいな気持ちにならないことが多かったので

僕としては、続刊を買わずにここで終わりにしようかなと思ってます。

いや、面白かった。
これは小説で初見読んでから、アニメが見たかったな。

 

アニメの全体の構成について考えてみる

 

初めはもちろん世界観の説明。
ということで、主人公のレーナはメインとなるスピアヘッドに移籍する前から描かれる。
ここは物語の起より前として構成を考える部分から外して考える。

物語の起点となるのは
スピアヘッドに移動となること、ハンドラー潰しの異名を持つアンダーテイカーの部隊に配属されるというイベントだろう。
どんな問題児かと思ったら、どの隊よりも優秀だったという。
そこから、小隊メンバーと名前を交換するまでが物語の起。

物語の転、つまり分岐点となるのは
個人的には、最後の命令が下されるあたり。
あの小隊が墓場であることが明らかになるシーンから兄と戦うシーンまで当たりが転。

そこまでは「死ぬかもしれない戦場」だったのが、「死ぬための戦場」に定義が変わるので、ここが全体の物語の”転”と考えていいと思います。

結はもちろんその後のぶらり帝国旅と
エピローグ的な、レーナの前線視察だろう。

 

起を受けつつ、転である兄との対峙を匂わせるために
承では、シンとレギオンの秘密について暴いていく。と言った形か。

 

つまりざっくりまとめるとこんな感じ

起:スピアヘッド配属(2話)〜名前の交換(4話)
物語の主となるスピアヘッド小隊の個性と、主人公の思想をぶつけることで
それぞれのパーソナリティを見ている側に伝える。
最終的にお互いを認めることになるドラマとしても成立。

承:シンとレギオンの秘密(5話)〜敵地への突撃命令(7話)
舞台設定の大きなトリックの一つであるレギオンの秘密と、それをうまく出すためのシンの能力の設定が開示される。
でも、アニメだとこのレギオンの秘密は兄との対峙以外に使われていない。
小説版だともう少しこの設定が活かされてくるのかな・・・?

転:墓場としてのスピアヘッド(8話)〜兄との対決・旅立ち(9話)
スピアヘッドが生き残るのはそもそも無理っていう、前提条件をぶっ壊すシーン。
主人公も親友に見捨てられたりと踏んだり蹴ったりですが、吹っ切れてスピアヘッドのピンチを救うヒーローになります。
前提条件をぶち壊した後は、とことんドラマティックに展開していきます。

結:旅を続ける先で(10話)〜前線視察(11話)
エピローグですね。最後に緩急の緩をもう一度持ってきている感じです。
11話で完結とするために、前線視察でレーナに色々回収させている感もあるが。

世界観の説明も含めて前半を丁寧に進めて、
後半は2話くらいでサクサク進めていく感じですね。

 

なんというか、
展開が王道的でわかりやすい。
これは見ててだれることもなくスッと入ってくるわけだ。

小説で1巻の内容を全11話で描いていることもあり、
改めて小説を読むと、小説よりもアニメの方が丁寧に描写されているシーンが幾つもあったと思います。
特に、結末が小説と異なるためか、シンたちが帝国領土に入ってからの描写がかなり多いですね。

そのほかのシーンも、セリフとしては変わらないのかもしれないけれど、
間の取り方や映像表現が合間って、小説よりも濃密に描かれているシーンが多かった気がします。

小説のアニメ化って、大抵は小説のボリュームをアニメに収めるためにカットすることが多い気がしていて
大抵は原作厨が「原作の方が情報量が多い!アニメ面白かったと思うなら原作もよめ!」みたいになると思うんだけど(かつての僕もそうだけど)

いや、そもそも最近のアニメはそういうスタイルが多いのかもしれない。原作小説をあまり読んでないからわからないのだけど。

86に関しては、用語や設定的な補足は小説の方が多いのは仕方ないとして
それ以外の描写については小説と同等、あるいはアニメの方が仕上がっているとも言える出来だったんじゃないかなと。

作者なのか脚本家なのか監督なのかプロデューサーなのかわからんが
まとめ方が良かった。これはアニメ化成功例の1つだと思う。

 

 

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