というわけで、キャッチー?なサムネもつけつつ
内容は硬派にDAWで条件揃えて聴き比べるという動画を作りました。
ということで、動画に書ききれないあれやこれやをついでに書き溜めておきます。
僕のOrangeサウンド遍歴
Orangeの音いいなー欲しいなーと思って、最初に手にしたのが
OnecontrolのFluorcsent Orange Amp In a Boxでした。
これは発売した瞬間から気になってて
実売1万円ちょっとで手に入るOrange系の歪みペダル。
定評のあるOnecontrol製(僕もSROD使ってた)
試奏して即買いして、しばらく使ってはいたんですが
いや、自分的には好みな音が出ることは確かなのだけど。
そのサウンドが合うバンドやってねぇ。ってことに気づいて。
しばらくお蔵入りされていました。
それからしばらく経って、SRRS入ったりとかなりアクティブにバンド活動をするようになったところで
「一発いい歪み欲しいよな・・・」
という感じに思っていたところに、中古でOrangeのプリアンプ、Baxbangeetarを見つけてしまったものだから。
即買い。
一応試奏しに行った。OnecontrolのOrangeAIABもお店にあったやつ並べて試奏してみたけど
Baxbangeetarの懐の広さに驚くばかりだった。
Baxbangeetarを買ったことで、僕の歪みペダル探しの旅はほぼ終わりを迎えた。
そこで、Baxbangeetarをメインに据えたボード作りをする上で白羽の矢が立ったのが
Line6 HXStompだったわけです。
Baxbangeetarにメインを任せつつ、マルチで外堀を埋めるという完璧な作戦。
そのためにはセンドリターンを持つマルチエフェクターが必要だった。
当時はまだGT1000COREもHEADRUSHのMX5も発売されていなかったので、選択肢がなかったんです。
試しに、HXStompのOrangeモデルのアンプシミュレータも使ってみたら
意外とイケるぞとなったので、もし機材量減らすときはHXStomp1台にもできるなーと思いました。
ここまでで、十分だったはずなんだけど。
ふと、
「本物のチューブアンプの音が分かってないのに、いい音とか悪い音とかわかんなくね?」
という、原点に立ち戻る発想に至った僕は無性にチューブアンプが欲しくなり。
気づけば、中古で見つけたOrangeOR15をポチってしまっていました。
動画の録音環境について
できるだけ環境を揃えて確認したかったので
・全てリアンプして録音する(毎回弾き直さない)
・キャビネットシミュレータは全て共通の設定にする。
・アンプヘッドはリアクティブロードを使ってラインレベルまで落として録音する
という形を取りました。
これができるのも、AxeI/OのリアンプOut端子のおかげ……
と言いたいところですが
おそらくHxstompのSEND -RETURNでも同じようなことができます。
まあ、今回はインピーダンス的なことも考慮して素直にAxeI/Oのリアンプ機能を使うことにしました。
ただ、HelixだけはちょっとHXStomp通すのも馬鹿馬鹿しい気がしたので
プラグインのHelixNativeを使用してDAW内でリアンプしています。
Helix系はUSBケーブルを繋げば、デジタル信号のまま本体でリアンプ出来てしまうので
リアンプという観点では実情にあった比較ではあると思います。
エフェクター類は直接アウトプットからAxeIOのインプットに繋げばいいわけですが
OR15はフルチューブアンプなのでそういうわけにもいかず。
というかせっかくだからSEND信号を取り出すんじゃなくて、パワー管を通った音を録りたかったので
ダミーロード、もといリアクティブロードに接続して録音しています。
使用したリアクティブロードはTorpedoCaptor8。
おそらくリアクティブロード界隈では新し目な機材で、お手頃価格です。
キャビシミュもCaptor8にもついてますが
今回はそれは使わずに、通常のLine信号をTRSジャックから出力しています。
※XLRジャックだとプリアンプ駆動のための電源が必要になるため
Orange OR15
Orangeのフルチューブ15Wアンプヘッドです。
Orangeが昔リリースした、スモールサイズアンプヘッドの先駆けとも言える「TinyTerror」の流れを汲むモデルです。
15Wと7Wの切り替えスイッチがあるほかに、エフェクトループも搭載していて
実戦でもレコーディングでもバッチリ使える機能性を備えた優等生です。
1chということで、音色を変えることはできませんが
ゲインの幅が異様に広くて、クリーンからメタル向きな強烈なディストーションまで1台でいけます。
いや、本当にワケわかんないくらい広い。
スモールアンプヘッドのTinyシリーズは、どれも金属筐体の無骨なデザインになっているシリーズで
Orangeらしいオレンジ色の木製キャビネットは採用されていなかったのですが
満を辞してオレンジ色の木製キャビネットを採用し、名前も「OR15」とORシリーズを踏襲したネーミングで
見た目的にもサウンド的にも、そこそこ注目度が高かったように思えます。
(そして、中古の出回りが少ない気がする)
と、まあスペック的にはこんな感じなんですが
サウンド的にはレトロなOR系というよりRocker系の比較的モダンなざっくりとした歪みをしていると思います。
なんなら、同じスモールアンプヘッドのRocker15よりもモダンで扱いやすいサウンドだと思ってます。
(Youtubeの比較動画を見た限りでは、ですが)
Rocker15は2ch仕様なのがちょっと心が揺れるポイントでしたが
HXstompを持っているので、エフェクトループを利用した4ケーブルメソッドであれば
他のクリーン系アンプモデルを使えばいいという結論に至りました。
アンプに求めるのは、歪みサウンドの格好良さ!
ちなみに、15Wというパワー感は
ほどほどの音量のバンドならなんとか許せるレベル。
骨のあるロックバンドだとちょっと厳しい。
僕がライブで使った際には
リアクティブロードで音量を落とした上で、改めて別の200Wのパワーアンプでキャビに出すという
某Tube Amp Expanderを再現するセッティングで臨みました。
今日はぶっつけでアンプ2台セッティング。
OR15にリアクティブロードかましてHXstompのセンドリターンへ。OR15の15Wギリギリにプッシュしたサウンドをquilterで持ち上げるスタンス。 pic.twitter.com/7xMuOAF2T4
— さとうたくや (@n_s_lab_tokyo) August 21, 2021
こうすることで、
100Wのアンプとかでは出せない、パワーアンプのぎりぎり感を出しつつ
音量的には100Wクラスを確保することができます。
個人的には、割と満足な音が出ました。
(セッティング面倒だけど)
Orange BaxBangeetar
買った時にがっつり色々描いてるのでそちらも参考に。
この機材の凄いところは
持ち運べるサイズ感で、まさしくOrangeのサウンドが出るところ。
聴き比べ動画の方でも書いていますが
ぶっちゃけOR15との差は好みの範疇だろうという感じです。
OR15はチューブアンプらしい、奥行き感のある歪みかたですが
Baxbangeetarはよりザラリとしたドライなサウンドの印象です。
ライブで使うなら
バッキングはOR15,ギターソロは前に出てくるBaxbangeetar
みたいな使い分けができたらベストな気もします。
単体で使う際には、音量アップのブーストSWがあるのも便利なポイント。
僕はソロは音量だけじゃなくて音質も変えたい派なので
ソロ用のブーストは別のペダルを用意してしまいますが。
個人的な予想ですが、
こいつはプリアンプとして作られているので、クリーンなアンプにつないでこそ本領発揮します。
Fender系やJazzChorusなどの、比較的クリーンのサウンドが得意なアンプに繋ぐことで
Baxbangeetarのキャラを生かしつつ、アンプのEQや真空管のサウンドなども生かせると思います。
Marshall系もまあ、ダメとは言わないですが
同じUK系のハイゲインアンプということで、少し音が喧嘩するというか。
尖りすぎる気がします。使う場合はうまくミッドのパライコでカバーする必要がありそうです。
Onecontrol Fluorcsent Orange Amp In a Box
ちょっと比較動画だと劣って聞こえてしまう可哀想な子。
でも、実際問題としては、めちゃくちゃコスパが高い。何より他の機材より明らかにコストが低いので。
コントロールがTrebleだけなこともあり、積極的な音作りができないのですが
動画内でも言っている通り、
これはプリアンプではなく、アンプに繋いで使うエフェクターなんじゃないのかなと僕は思います。
動画の通り、単体で鳴らすとサウンドがミッドに寄りすぎていて少し篭った印象を受けます。
これはTrebleを最大にしたサウンドだったので、これ以上となると別途EQをかける必要があります。
一方で、ギターアンプというのは基本的にはナチュラルなセッティングでもドンシャリ気味なEQになっているものが多いです。
特にマーシャル系なんてその権化のような存在です。キャビのサウンド傾向までドンシャリしてます。
そうしたギターアンプのインプットに接続することで
エフェクター単体ではミッドに寄っていると感じたサウンドレンジが一気に広がり、
Orangeのようなザクザクした歪み感も相まって、気持ちいいサウンドになります。
マーシャルとかの、歪むフェンダー系アンプとかの
アンプ単体でもキャラ濃いめなアンプに繋ぐ場合には、Fluorcsent Orange AIABは
かなりしっくりとくるサウンドを出してくれると思います。
それこそ売り文句の通り、まるで別のアンプになったかのような。
ぶっちゃけ、JCとかのフラットでクリアなトランジスタアンプに繋ぐと
あんまり良さを感じない(というかBaxBangeetarが良すぎる)ので
スタジオにあるアンプでということなら、バンド内でマーシャル系をメインで使える人におすすめしたい。
Line6 Helixシリーズ(のOrange系のアンプモデル)
中身同じなんで、HelixもNativeもHxもまとめて同じってことにしてしまいますね。
あ、HXEffectsにはアンプモデルが入っていないので注意です。
動画に入れたのは自分が持ってるからということもありますが
比較対象として有名どころのアンプシミュレータを入れておきたかったというのが大きいです。
Line6のスタッフたちが
「これがいい音のするOrange Ampのサウンドだ」と自信を持ってリリースしてるわけなので
ぶっちゃけると、その辺のアンプよりいい音で鳴ってもおかしくないわけです。
なので、アンプシミュは機材比較において
一種のリファレンスとして比較対象にはもってこいだと思っています。
で、今回比べてみて思うところは
やはりHelixのモデリングは結構良いですね。
ただ、やっぱりLine6のモデリングってレコーディング機材的なノリが垣間見える気がしていて
改めてヘッドホンとかで聴くと、無難で扱いやすい音になっている気がします。
(人によってはそれを良い音と言うんだろうけど)
動画ではやっていないですが、EQとかを後段に繋げて調整すると
スタジオでBaxbangeetarとスイッチングしながら聴き比べてみても
言われないとわからないレベルに似せることができました。
Baxbangeetarだって新品で買ったら四万円くらいするので
あと3万円で、空間系も歪み系も、なんならIRキャビシミュも全部ついてくる
って考えるとHXStompはめちゃくちゃコスパ高いですね。(考え方が雑すぎる)
余談ですが、
最近のマルチ系だとHeadrushの歪みサウンドは頭ひとつ出ている気がするので
個人的にはHeadrushとも比べてみたいところ。
(HeadrushってOrange系のモデルあるんだっけ・・・?)
Brainworx bx_rockergain100
オマケというか、僕のお気に入りプラグインなので動画内に出してます。
Brainworxの出すアンプシミュは
アンプらしい生々しさみたいなものが色濃く出ている気がして
扱いづらいですが、めちゃくちゃ格好いい音が出るので好きです。
VH4とか、Bassmanとか、Friedmanとか。
このRockergainは比較的最近リリースされたモデルですが
とにかく音がいい。
この音が出るならアンプいらないじゃーんとも思いますが
こいつはどちらかというとリアルタイムで鳴らす感じのエフェクトじゃないので
演奏者としては使えないところ。
DTMギタリスト的には、超良いんですけどね。
名前からして、Rockerverb100のモデリングでしょう。
いつかOR系のサウンドも出してくれないかなぁ。
単純に聴き比べしてみたい。
終わりに
紹介した以外の有名どころといえば
Tech21のOxfordとかAMT O2とかだと思いますが、持ってないので比較できません。
サウンドは気になるところではありますが
今日紹介したエフェクターたちはその2台より後に発売されたエフェクターたちなので
おそらく「そいつらに勝てる」と思って市場投入したと思われます。
(動画で聞くかぎりではOxfordとかもいい音してますけどね)
あとは、BaxbangeetarはOrangeのカスタムショップ名義での販売になってますが
そうではない歪みペダルとかが少しずつ増えてきていて
アンプに繋いで使う場合の選択肢としては、そっちも気になりますね
ただまあ、カスタムショップ名義で出してるBaxbangeetarを買ってしまった僕はきっと買うことはないでしょう。。。
Orangeが出してるファズは気にならないといえば嘘になりますが
多分ファズ作らせるならOrangeよりもっとふさわしいメーカーがありそうなので
おそらく買うことはないでしょう。。。
ということで、僕のオレンジサウンドを探す旅は一旦ゴールを迎えた気がします。
残るは、フルサイズのアンプヘッドとキャビを買うことだと思いますが
それは鳴らす環境とか持ち運び的な現実面で現状はできそうもないので、
いつかそれが買える生活を夢見て過ごしていきたいと思います。