創作彼女の恋愛公式の感想(ネタバレあり)

http://ainolinks.com/

萌えゲーアワード2021で5冠を取ったバケモノということで
なんだかんだ有名な話題作には手を付けておくライトオタクとしても、
そして、クリエイター群像劇ということでなにか作ったりしてる人としても惹かれるものがあったので
サマーセールでサクッと購入してプレイしました。

 

未プレイ・知らない人向けの本編紹介

とりあえず公式のHPのイントロダクションを読んでくれという感じだけど、
基本的に導入部分しか無いので、
ネタバレというほどではない内容バレも多少含めてを作品の要素を補足として紹介すると、

  • 基本的には、シナリオライターの主人公がクリエイターの専門学校で3年間青春するお話
    • 出てくるクリエイターは「ライター・作家」「絵書き」「声優」の3種類
    • 学生たちも自身の代表作を既に持っており、商業デビューしている学生も多い
  • はじめのうちは、主人公のスランプを解決するために奮闘しながら、ヒロインと出会って関わっていくお話
  • 立ち絵があるキャラクター(≒重要キャラ)は全員クリエイター
  • 基本的に一貫して「クリエイターが作品を作れなくなる」ことに対して、どう解決していくか
    • 作品内では「クリエイター=作品を作るための生き物」なので、すべて死活問題

 

ネタバレ”ほぼ”なし感想


創作に対する”圧”がすごい!!

ほぼ全キャラ、人間やめてるタイプのクリエイターなので
創作に対する熱意がものすごい。

なので、キャラクターとしての軸がはっきりしているので
どのキャラクターも魅力的になっていると思う。

基本的に創作における葛藤が題材となっているので
「ああ!楽しかった!」と両手を上げてスッキリ楽しむ作品ではないと思うけれど
十分な描写と盛りすぎない展開は、プレイヤーの心をきっちり揺さぶってくる面白い作品だったと思う。

ただ、これをこれからプレイする人、もしくはプレイした人に一応言っておきたいのは
「そんなに片肘張ってやらなくても、好きなものを好きなように作ればええんやで」って事。
本編内にそういうスタンスのライトなクリエイターが一人も居ないので、
まじでアレがクリエイターだと思って「私には無理…」ってなっちゃうのは勿体ないよなーと、
一人の音楽家としては思います。

全体として僕は面白かったし、感想を残しておこうと思うくらいに影響を受けたので良かったと思うけど
少し不満点を上げるとすれば

1:選択肢が少ない

ビジュアルノベル的だなと思った。
こうしたノベルゲームの面白さって、自分の選択で物語の進行が変わる事だと思うのだけど
どんなに主人公が迷った場面も、プレイヤーの感情におかまいなく主人公がどんどん決断していく。
…しかも常人なら取らない方の選択肢に。

最近見ている風都探偵もとい仮面ライダーWでも言っていたしね。
「男の仕事の8割は決断することだ」って。

いわゆるキャラゲーと言われる、”可愛いヒロインたちとイチャイチャ楽しく過ごすぜ!”
的な内容なら、バッドエンドになる選択肢なんていらないと思うのだけど、
主人公やヒロインの葛藤を色濃く描いた作品だからこそ、
自分の手で選択して物語をすすめることで
さらなる感情移入が出来たのではないかとも思う。

なにか容量とか時間とか現実的な成約があったのかもしれないけれど。

 

2.音楽のクリエイターが居ない!

なんで居ないんだよおおお!!!

バリ感情移入できるはずの種類のクリエイターが一人たりとも現れない寂しさ。
本編内で音楽科も言及されていたはずなんだけどな。

現代のゲームでかなり音楽って重要な要素だと思ってるけど
少しくらいフォーカスしてくれたって良いじゃないか畜生!(完全に私怨)


 

ということで、以降はネタバレを含む感想をつらつらと書いていきたいと思う。

 

※未プレイ者はネタバレ注意※

 

全体を通して気になったこと

「これは物語じゃないから。現実はこんなもんだ」

みたいなセリフが多かった気がしする。
物書きの人たちは日常を過ごしてるときに、
妄想を広げて現実と比べていつもそう思ってるのかもしれませんね。

ただ、そう言うほどゲームがリアリティある感じかと言われると個人的には「?」という印象。
たまにこの台詞使うのは良いんだけど、ちょっと回数が多いせいで「いや、重ね重ね言うほど現実味ねぇよ?」ってメタに突っ込みたくなって一瞬意識がゲーム内からこちらの世界に帰ってきたような印象。

個人的には、もっと悩んでくじけて欲しかった思いもあるけれど
もしかしたら、現実ってのは僕が思ってるより簡単に物事が解決できる世界なのかもしれない。

ただ、過酷なだーまえ節な世界観に育てられたゆとり世代のライトオタクとしては、
もっと過酷な現実の一面を見たかった気持ちはある。

 

①共通ルート

このゲームの本編。
誰とも付き合わずにそのままAS完成させたら、ギャルゲとかじゃなくて普通の青春群像劇で終わっちゃう。

そう終わっても良いよね、位にボリュームがあった気がする。

他の美少女ゲームだと、入学して3ヶ月で付き合って、夏にはデートしてるみたいな
一目惚れに近い結ばれ方をすることが多いけれど
創作彼女の恋愛公式では、1年目はきっちりヒロインとの出会い、
2年目で各ヒロインとの仲を深める的な流れだったので、そう言った面では現実に近い物語だったのかなとも思う。

その分だけ、気づいたら夏が終わってたり、クリスマスが来ていたりと時間の経過が結構早い。
2クールのアニメを総集編で2時間の映画にまとめた感じ。

まとめ方が上手なので、違和感はないのだけれど
キャラクターたちが好きになると「もう少し日常を見てみたい」という気持ちは強くなる。

 

ちなみに、共通ルートの時点で一番好きなキャラクターは紫音だったんだけど、
幼なじみに紫音フラグを完全に折られた。無念。

②ゆめみルート

電話の選択肢のタイミングに自分を重ねたときに、
自分のことを好きな女と話す気にも、自分が好きだった女と話す気にもなれず、
自然とゆめみに電話をかける選択をしていた。

ち、違います。多分。

 

義理の妹、がっつりオタク趣味、地毛ではない金髪、耳付きパジャマ とこれでもかと属性を詰めこまれたキャラで、本人もそれを自覚してそうなのがまた良い。

あと、ツーサイドアップ的な髪型のキャラ好きなんです。

創作彼女のヒロインは「天才肌」と「叩き上げ」の2つにクリエイターとしてのタイプが分かれると思うのだけど、
ゆめみは「天才肌」側。

「天才肌」側のキャラクターは、創作に対しての積み重ねとかではなくモチベーションがテーマになりがち。

なので、どちらかというとクリエイターの葛藤というよりかは
ラブコメ的な葛藤に近いのかなーというところで、比較的ライトな気持ちで眺められるルートなのかなと思う。

とにかく、わかりやすく”かわいい”ので
はじめに進んだのが、このキャラで良かったなと後から思った。

②エレナルート

個人的にあんまりエレナ先輩好きじゃないとか思いつつも、
なんか桐葉に電話かけるのも甘えすぎな感じで気が引けるなと思って、2周めはエレナ先輩に電話をかけることに。

性格的にはあまり好きじゃないので、僕のエレナ先輩の印象は最後まで
「えっちなお姉さん」です。

…うん。全ヒロインのなかでも最初から最後まで積極的だしね。

とはいえ、
シナリオというか、二人の関係性としては一番好きなシナリオだったりする。

ゆめみルートや桐葉ルートのように、
「舞台は違うけど、お互い頑張っていこうぜ」的な綺麗事でもなければ
逢桜ルートのように「逢桜をどう生かすか」に重点を置いたシナリオでもなく。

同じライターという相手と付き合うことに対して
主人公が自分自身の問題に対して自分自身が葛藤して結論を見つける。

きっかけこそエレナ先輩の疑似スランプではあるものの、
やっていることは、自分の決意を改めることだったと思う。

目指すべき相手目の前にいて、それを追い越すために頑張り続ける
一番未来の主人公への期待を感じるルートだった、と思う。

 

③桐葉ルート

負けヒロイン好きな僕としては、
ここまでの各ヒロインのルートで桐葉の好感度がうなぎのぼりで、ついにここまで来たという感じ。

天王山はここだ!と言うつもりで桐葉に電話をかける…!

冗談のセンスといい、実力派クリエイターという立場もあり、ただでさえ”いい女”感漂ってるキャラな上に
ほかヒロインのルートで主人公を幾度となく助けつつ涙してきたヒロインということで
だいぶ気持ちが高まったところでの桐葉ルートだったので、ちょっとニヤニヤしちゃうのも仕方ないかなと思う。

 

ヒロインの中でも唯一、顔を出して世間に認知されているヒロインということで
他のヒロインに比べると、二人の問題ではなく対外的な部分の問題が大きいシナリオ。

ここまでも、他のヒロインに先を越されたりして枕を濡らしたヒロインだというのに
結ばれてからも、他人がネックになるという、とても不遇なヒロインだけども

妹ポジであるゆめみや、しきりに体で迫ってくるエレナ先輩に比べると
非常に等身大なキャラクターで、そこがやっぱり可愛さにつながってくるのかなと

個人的なツボシーン。

桐葉自体は可愛いが、シナリオ展開としては意外性も少なく
「まあ、物語なら刺されるしかないよね」、「まあ、物語ならここで声が出るようになるしかないよね」
みたいな感じでさらっと終わった印象。

家族問題を共通ルートで解決しちゃってるのが、シナリオの厚みが出づらい原因か。

ただ、桐葉の母の言葉は印象に残っている。

 

④逢桜ルート

解放条件が他のヒロインクリア後ということで、自動的に最後に回されるルート。

ということで基本的に、本編に散りばめた伏線を回収するためのルート。

逢桜のたまに見せる陰りとか、ほかヒロインのシナリオでは電話出演しかしないこととか。

……そうじゃないといいなぁとは思ってたけど。

というわけで、逢桜ルートは基本的に
「逢桜がどう生きるか」と「逢桜をどう生かすか」が主軸となるシナリオ。

ここまでひたすら
「創作をやめたときに死ぬのがクリエイターという生き物」という価値観を流布してきたのも
”創作をすることによって死に近づく”逢桜というキャラクターのこのシナリオを際立たせるためのもの。

そりゃあ、気楽に趣味として活動するようなライトなクリエイターのキャラを出すわけにはいかないわけだ。

「創作を辞めることによるクリエイターとしての死」
「創作を続けることによる人間としての死」

の2つを天秤にかけて、さあどう死にたいかという選択。

ただ、逢桜は
周りの友達に対しては「クリエイターとしての逢桜のままで居たかった」と言ってる通り
約束さえなければ何があろうとクリエイターのままで居たいという逢桜の本心は滲み出ている。

後はきっかけだけ、というところで
主人公がたまたま病院で逢桜を見つけちゃったので、さてどうしよう。と言った塩梅。

いや、たださ
2回めのセックスしたその日の夜に発作で倒れたんだしさ
ドクターストップ後の逃避行で精魂尽き果てるまでヤるなよな!って思うよ!!

クリエイターなんだろ!?AS完成させたいんだろうが!!

というところで、ちょっとエロゲとしてのノルマ回収的な印象を持ってしまい少し嫌気が差しました。

まあ、そんな状態だからこそ、それはそれでエロいと言うのもわかるし、
若い男女が二人きりで我慢できるかと言われたらまあ…仕方ないのかな…?

 

というようにシナリオに関しては、諸手を挙げて「良かったぜ!」って感じじゃないのだけれど
単純に逢桜というキャラクターに関しては、個人的にとてもグサグサくる。

ゆめみに聞かれてこの回答をしたときから感じていたんだけれど
逢桜の創作スタンスと僕自身の創作スタンスが似ている気がして(規模と覚悟は違いすぎるが)
なんとなく、主人公ではなく逢桜側に感情移入しながら読み進める部分も多かった気がする。

ということで、僕も恋人ができて幸せ絶頂とかになったら、ハッピーな曲が作れるのかもしれないな……
なんて思いつつ、今はマイナーキーで仄暗い曲を作り続けようと思います。

 

終わり方については、受け取り手次第だけれど
命をかけるに値する作品を作れたということは、それだけでクリエイターにとっては幸せなことだとは思うので、ハッピーエンドではなく、ハッピーストーリーなんだと思う。

終わりよければ全て良しみたいな、エンディングだけでその物語が幸せかを判断するんじゃなくて
この物語自体は幸せだったのか、ということをきちんと物語の中身で感じ取ってほしい、ということなのかもしれない。

 

全部終わってみての感想

シナリオ展開が面白かった、と言うよりは
キャラクターが魅力的で、そのキャラクターが生かされるストーリーで面白かったということなんだと思う。

ちょっぴりビターな展開も含みつつも
基本的には、ヒロインと結ばれて幸せになる方向性に舵が取られているし
展開が程よく早く進むので、ダレる感じもなくて
こりゃあみんな高評価するなと思った。

オタクって基本的に創作に憧れがちな人種なので
クリエイター群像劇という設定もバチバチ刺さるし、
登場するクリエイターたちもきちんとクリエイターしている感じは出ているし
作中作(AS)がちゃんと面白そうだと思えるように設定が練られているのも、クリエイター群像劇としてのディティールを増していて良い。

「少女たちは荒野を目指す」とか「冴えない彼女の育て方」とかは
学生の立場とか業界の新人が頑張る的なスタンスだったけれど
創作彼女の恋愛公式は全員クリエイターとしてはある程度自立しているところから始まっている
という部分においては、割りと新鮮な舞台設定だったのかもしれない。

でも、やっぱり選択肢はもう少し欲しかったかな。
逢桜がシンでしまうのであれば、自分自身の選択で逢桜を死なせたかった。
勝手に主人公が決断して、勝手に死んでいくのは理不尽だと思う。

 

とりあえず、公式がアペンド出すよって言ってるので
紫音と姫ちゃんにフォーカスを当てたシナリオが出てくるのを期待したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

……そうなの?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA